平成21年度事業計画

 

米国発の世界同時経済金融危機の進行も各国の財政出動など大規模対策にもかかわらず未だ先の見えない状況が続いており、我が国経済も厳しい年を迎えている。これまでわが国経済を支えてきた輸出産業も円高の進行もあり大幅な製品輸出の減少、企業収益の悪化、設備投資の減少が見られ、これからは、外需に頼らない国内需要の拡大により景気の回復を図っていく必要があるが、国内消費も雇用情勢、所得環境の悪化により減少傾向にあり、20年度の国内総生産の実質成長率はマイナス3.1パーセントと大きく減少した。

本年度の成長率もマイナス3.3パーセントと2年連続の戦後最悪のものとなる見通しになっており、とりわけ輸出産業は対前年比27パーセント減、民間設備投資も14パーセント減と大きく減少する見通しとなっている。この景気回復は全治3年との悲観的見方が強い中で、全世界各国の強力な財政出動、不良債権の解消などによる世界の景気回復対策のもとで、我が国も、当初予算に加え14兆円にも上る第1次大型補正予算など100兆円を超える財政出動が見込まれ、早期の景気回復が望まれている。

このような厳しい経済状況の中で、国産チップ業界も、2酸化炭素削減に資する環境に優しい再生産可能な資源としての木材を活用して、グリーン産業としての認識のもとで、国産チップの安定的な供給に努め、長期的展望のもと、将来を見据えた事業展開を図ることが望まれる。

このような各般の情勢を踏まえ、21年度は次の事項に取り組むものとする。

 

. 木材チップの需給と価格の安定                 

() 国産木材チップ利用の促進  

木材チップの需給動向が変化している現状を踏まえ、木材チップの利用状況や今後の動向及び林業・木材産業に関する林野行政の方向を見極め、木材チップの利用の積極的な促進に努める。

 () チップ原材料の安定的確保

   間伐材等木材チップに供する原材料が逼迫している現状を踏まえ、木材チップの安定的・効率的な供給体制を構築する必要があることから、間伐材チップの安定供給体制の整備に取り組む。

() 木材チップの安定的経営に資する価格の安定化

  木材チップの安定的な供給体制を構築するためには、紙パルプやバイオ  マス利用に伴う木材チップの需要状況に対応した適正なチップ価格の設定  が必要であり、これを実現するように努める。  

 

2.製紙用間伐材チップの安定供給支援事業への取り組み

  大気中の2酸化炭素削減による地球温暖化防止の観点から間伐の推進が図られており、間伐材の利用拡大が大きな課題となっている。このため間伐材による製紙用チップの流通の効率化と安定供給体制の整備が急務となっており、全チップ連が中心となって木材チップ及びチップ原木の取引にあたっての適切かつ効率的な検量方法を確立し、その普及を図るとともに、地域が一体となってモデル的に行う製紙用間伐材チップ安定供給体制づくりに関係機関と協力して支援する。

 

3.新規需要開発等の取り組み                      木材チップ製造事業を主体として効率的な経営を展開するため木質系粗飼料、木質ペレット、湿地排水処理資材等の開発事業に積極的に取り組むこととし、関係行政機関に対して木材チップの新たな需要開発の要請を行い、需要開発に取り組む。

 

4.合法木材及び間伐材流通の円滑な推進

  合法木材の適切な受け入れと供給を各業種間で円滑に推進できるよう取り組むこととするとともに、合法木材取扱事業者の認定に努める。

また、間伐材チップの確認のためのガイドラインに基づく間伐材取扱事業者の認定に努め、間伐材チップの利用を積極的に進める。

 

5.林業労働力確保対策の実施                     (1) 林材業ゼロ災推進中央協議会の活動に参画し、労働災害の軽減に努める。

 (2) 林業退職金共済制度への加入促進を図る。

                                   

6.木材需給動向収集調査及び情報活動の充実              (1) 木材チップの市況動向調査(毎月)

 (2) 全国パルプ材・チップ材の動向   

 (3) パルプ材入荷・消費・在庫速報及び実績、木材チップ輸入量等 

 (4) その他の情報                    


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