平成22年度事業計画

 

昨年度は、米国のリーマンショック以来の世界的な不況が続き、我が国の景気も回復が遅れた。今年度は、世界各国の財政、景気対策の進展やBRICsなど中進国の発展により、景気の先行きに明るい兆しも見えるところであるが、木材チップの主な需要先である製紙業界は、昨年は需要が2割も減少し、今年度も需要回復の見通しも厳しいものがある。製紙産業の原材料チップの約3割、474万トンを国産の木材チップが担っている現状にあるが、外材チップの依存度も約7割、1,056万トンと依然として高水準にある。昨年誕生した新政権は、国産材の自給率を5割に上げるという目標を掲げており、二酸化炭素の吸収源対策としての間伐の推進とも相まって国産材利用の機運が高まってきている。

国産木材チップ業界も、円高の進行などにより長期にわたり厳しい経営状況が続いており、平成21年も製紙需要の低迷から国産チップも約1割の減産を強いられてきた。本年についても紙、板紙の需要は昨年並みと予想され大幅な製紙需要の増加は期待できないと思われるが、外材チップから国産チップへの回帰の機運をとらえ、国産チップの安定的な供給に努めつつ、長期的展望のもと、将来を見据えた事業展開を図ることが望まれる。

このような各般の情勢を踏まえ、22年度は次の事項に取り組むものとする。

 

. 木材チップの需給と価格の安定                 

() 国産木材チップ利用の促進  

木材チップの需給動向が変化している現状を踏まえ、木材チップの利用状況や今後の動向及び林業・木材産業に関する林野行政の方向を見極め、国産木材チップの利用の積極的な促進に努める。

 () チップ原材料の安定的確保

   間伐材等木材チップに供する原材料が逼迫している現状を踏まえ、木材チップの安定的・効率的な供給体制を構築する必要があることから、間伐材チップなどの安定供給体制の整備に取り組む。

() 木材チップの安定的経営に資する価格の安定化

  木材チップの安定的な供給体制を構築するためには、紙パルプやバイオ  マス利用に伴う木材チップの需要状況に対応した適正なチップ価格の設定  が必要であり、これを実現するように努める。  

 

2.製紙用間伐材チップの安定供給支援事業への取り組み

  大気中の2酸化炭素削減による地球温暖化防止の観点から積極的な間伐の推進が必要であり、間伐された木材の利用拡大が大きな課題となっている。このため間伐材による製紙用チップの流通の効率化と安定供給体制の整備が急務となっており、全チップ連が中心となって木材チップ及びチップ原木の取引にあたっての適切かつ効率的な検量方法を確立し、その普及を図るとともに、地域が一体となってモデル的に行う製紙用間伐材チップ安定供給体制づくりに関係機関と協力して支援する。

 

3.新規需要開発等の取り組み                      木材チップ製造事業を主体として効率的な経営を展開するため木質系粗 飼料、木質ペレット、湿地排水処理資材等の開発事業に積極的に取り組む   こととし、関係行政機関に対して木材チップの新たな需要開発の要請を行   い、需要開発に取り組む。

 

4.合法木材及び間伐材流通の円滑な推進

  合法木材の適切な受け入れと供給を各業種間で円滑に推進できるよう取り組むこととするとともに、合法木材取扱事業者の認定に努める。

また、間伐材チップの確認のためのガイドラインに基づく間伐材取扱事業者の認定に努め、間伐材チップの利用を積極的に進める。

 

5.林業労働力確保対策の実施                     (1) 林材業ゼロ災推進中央協議会の活動に参画し、労働災害の軽減に努める。

 (2) 林業退職金共済制度への加入促進を図る。

                                   

6.木材需給動向収集調査及び情報活動の充実              (1) 木材チップの市況動向調査(毎月)

 (2) 全国パルプ材・チップ材の動向   

 (3) パルプ材入荷・消費・在庫速報及び実績、木材チップ輸入量等 

 (4) その他の情報                    


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