議題2
平成24年度事業計画
平成23年3月発生した東日本大震災の影響は甚大であり、特に木材チップの主要な需要先である製紙業界などに被害も大きく、これに加え従来からの世界的な景気の低迷も重なり、平成23年度は我が国経済は極めて厳しい年となった。平成24年度も放射能事故の予想を超える広がりなど厳しい情勢が続くと思われるが、大震災の復興対策が開始され、景気の着実な回復を期待したいところである。
木材業界も、平成19年の改正建築基準法の施行に伴う大幅な住宅建築の減少が引き続き、平成23年は住宅着工件数も83万戸と極めて少ない状態にあり、木材価格も引き続き低迷し、業況は極めて厳しく先行きの不透明感が払拭し難い状況にある。
国産チップ業界も、円高の進行などにもより長期にわたり厳しい経営状況が続いており、平成23年も東日本大震災の影響もあり製紙需要の低迷から国産チップも大幅な減産を強いられてきた。今後についても製紙需要の大きな増加は期待できないと思われるが、外材チップから国産チップへの回帰の機運をとらえ、さらに電力固定価格買い取り制度の発足による新規需要などを踏まえ、国産チップの安定的な供給に努め、長期的展望のもと将来を見据えた事業展開を図ることが必要である。
このような各般の情勢を踏まえ、平成24年度は次の事項を重点的に取り組むものとする。
1. 東日本大震災復興対策の推進
東日本大震災の被害対策及び復興対策については、東京電力原子力発電所事故による放射能被害対策もあり大きな課題が山積みしているが、これらの課題に対応して着実な復興の努力を続けることとする。特に、木材チップ業界に関しては樹皮の処理が大きな課題であり、風評被害対策も含めて行政官庁とも緊密な連携をとり、木材関連の放射能基準値の徹底、木材チップ生産の安定的な確保に資するよう努めていくこととする。
2 木材チップの需給と価格の安定
(1) 国産木材チップ利用の促進
電力固定価格買い取り制度の開始など木材チップの需給動向が変化している現状を踏まえ、木材チップの利用状況や今後の動向及び林業・木材産業に関する森林・林業再生プランなど林野行政の方向を見極め、国産木材チップの利用の積極的な促進に努める。
(2) チップ原材料の安定的確保
間伐材等木材チップに供する原材料が逼迫している現状を踏まえ、木材チップの安定的・効率的な供給体制を構築する必要があることから、間伐材チップなどの安定供給体制の整備に取り組む。
(3) 木材チップの安定的経営に資する価格の安定化
木材チップの安定的な供給体制を構築するためには、紙パルプやバイオマス利用に伴う木材チップの需要状況に対応した適正なチップ価格の設定が必要であり、これを実現するように努める。
3.木材チップの規格化等への取り組み
地域のバイオマス資源である木材チップを地域材として原料転換を行うための課題として木材チップの規格化及び乾燥の問題がある。これらの課題を解決するため、全国木材チップ工業連合会として、木材チップの規格を定め、これを全国の木材チップ関係者に普及し、木材チップの生産、流通の安定化を図る。
4.新規需要開発等の取り組み
木材チップ製造事業を主体として効率的な経営を展開するため木質系粗飼料、木質ペレット、湿地排水処理資材等の開発事業に積極的に取り組むとともに広葉樹チップ、タケ材チップなどの活用を含め、関係行政機関に対して木材チップの新たな需要開発の要請を行い、林野庁の木材チップ等原料転換型事業を活用して木材チップの需要開発に取り組む。
5.合法木材及び間伐材流通の円滑な推進
合法木材の適切な受け入れと供給を各業種間で円滑に推進できるよう取り組むこととするとともに、合法木材取扱事業者の認定に努める。
また、間伐材チップの確認のためのガイドラインに基づく間伐材取扱事業者の認定に努め、製紙業界などが必要とする間伐材証明の普及を促進し、製紙用間伐材チップの安定供給体制を支援し、間伐材チップの利用を積極的に進める。
6.林業労働力確保対策の実施
(1) 林材業ゼロ災推進中央協議会の活動に参画し、労働災害の軽減に努める。
(2) 林業退職金共済制度への加入促進を図る。
7.木材需給動向収集調査及び情報活動の充実
(1) 木材チップの市況動向調査(毎月)
(2) 全国パルプ材・チップ材の動向
(3) パルプ材入荷・消費・在庫速報及び実績、木材チップ輸入量等
(4) その他の情報