平成27年度事業報告

 

 

 平成27年度の我が国経済は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を主とする経済財政政策の推進により、雇用・所得環境が改善し、原油価格の低下等により交易条件が改善する中で、穏やかな回復基調が続いた。しかし、年度後半には、中国を始めとする新興国経済の景気減速の影響等もあり、輸出が弱含み、個人消費及び民間設備投資の回復の遅れがみられる状況となった。

木材チップについてはその主要な需要先である製紙業界は紙需要の減退、製品輸入の増大が引き続き、木材チップ生産活動も停滞が続いている。平成27年の木材チップ生産量は対前年比98.2パーセントの5,745千トンとなった。これは素材が0.8パーセント増加したものの工場残材が5.6パーセント、林地残材が4.5パーセント、解体材・廃材が1.3パーセントそれぞれ減少したことによる。

一方、平成24年度に施行された再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法による木質バイオマスによる発電については、100を越える多くの発電所が新しく構想され、平成27年度以降に新たに大規模な木材チップ需要が生まれると見込まれたが現在時点ではバイオマス発電所の稼働が端緒についた段階で未だ大きなものになったとは言いがたい。

このように木材チップを取り巻く状況下の中で以下の活動に取り組んだ。

 

1 東日本大震災への対応

  今年3月で未曾有の被害をもたらした「東日本大震災」から5年を経過し、被害の大きかった製紙工場の復旧や木材チップの遠距離輸送問題もようやく平常に復すことが出来たものの、復興対策は東京電力福島原子力発電所の被害も相俟って依然大きな課題となっている。

特に、原子力発電所事故に伴う放射線被害対策については、引き続き行政は木材関連の放射性物質基準値の徹底、放射性物質汚染樹皮処理対策に当たっている。

  なお、国は、今年3月に福島県の森林除染に関する新たな方針、住居周辺の里山に10か所程度のモデル地区をつくり、除染の実証実験を3か年かけて行うことや木質バイオマスの利用した林業再生などを内容とした「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」を取りまとめたところであり、引き続き行政施策に注目していきたい。

 

 合法材対策への取り組み

  合法木材証明等の適正な運営に向けて、当連合会は各地域の認定団体とともに全国木材組合連合会が開催する研修会への参加や実施状況の把握等に努めてきた。また、当連合会としても違法伐採に関する自主的行動規範等に基づき、認定団体としての活動を行った。

 

 【研修会】

   主 催;(一社)全国木材組合連合会

   テーマ;合法木材供給事業者認定団体研修

   日  時;平成2797日(月)、東京木材会館

   参加者;150名(全都道府県から参加者あり)

 

3 木質バイオマスによる発電利用への取り組み

  平成24年7月から施行された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」による木質バイオマスによる発電についてはその原料により、その売電価格が異なることとされた。

当連合会はこの木材チップの取り扱いに関して、平成24年7月10日、「発電利用に供する木質バイオマスの証明に関する自主行動規範」及び「発電利用に供する木質バイオマスの証明に係る事業者認定実施要領」を定め、これに基づき会員(木材チップ生産者)及び賛助会員(木材チップ流通業者)の認定に努め、木質バイオマスによる発電利用の促進に努めてきた。

また、全国木材組合連合会が開催する研修会に参加し、実施状況の状況把握等に努めた。

 

表 認定事業者数(H27.4.1H28.3.31)   (単位;事業者数)

区  分

継   続

新   規

会  員

15

16

31

賛助会員

16

16

32

31

32

63

   ()@H27.4.1H28.3.31に認定した事業者数。

      AH28.4.1現在の認定事業者数は119

 【研修】

主 催;(一社)全国木材組合連合会主催

テーマ;@ 発電利用木質バイオマス証明のためのガイドラインの概要

    A 発電用木質バイオマス燃料供給の現状と見通し

 

講 師;@ 林野庁木材利用課鈴木綾子課長補佐

    A (一社)日本木質バイオマスエネルギー協会

川越裕之専門調査員

 ()上記2の「合法木材供給事業者認定団体研修」と同日開催

 

4 林業労働力確保対策の実施

1)林材業ゼロ災推進中央協議会の活動

    当連合会は林業部会及び木材・木製品部会の委員として活動し、本年度

   も労働災害の防止対策の実施に各団体と協力して取り組んだ。

 

 (2)林業退職金共済制度への加入促進

    林業労働力を確保するための福祉制度として林業者退職金共済制度の

  充実拡大が進められており、当会から会長が運営委員として協力してきた。

    本年度についても独立行政法人勤労者退職金共済機構が行った林業退職金共済への加入勧奨運動に協力した。

 

5 木材需給動向収集調査及び情報活動の充実

 (1) 木材チップの市況需給動向調査(毎月)

 (2) 全国パルプ材・チップ価格(農林水産省統計情報部)

 (3) パルプ材入荷・消費・在庫速報及び実績、木材チップ輸入量

(日本製紙連合会、経済産業省、財務省通関統計)

 (4) 需要開発に関する資料収集と情報

 (5) 労働災害発生状況に関する情報

 (6) 木質バイオマス情報の収集・提供

  (7) 免税経由使用状況調査(林野庁指示による各事業者への照会、集計、報告)

 

6 総会・理事会

 (1)第1回理事会

    と き:平成27年5月25日()

    場 所:東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル

    議 題:第1号議案 第59回通常総会提出議題

        第2号議案 新会員の加入承認

        第3号議案 役員の改選

 

 (2)第59回通常総会

    と き:平成27年5月25日()

    場 所:東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル

    議 題:第1号議案 平成26年度事業報告及び収支決算の承認

        第2号議案 平成27年度事業計画及び収支予算の決定

        第3号議案 平成27度会費の賦課及びその徴収方法の決定

        第4号議案 役員の改選

        第5号議案 その他

 

3)第2回理事会

     と き:平成27年111()

     場 所:東京都豊島区池袋1−6−1 ホテルメトロポリタン

議 題;第1号議案 平成28年度林野庁予算要求(概要説明)

第2号議案 新会員の加入に承認

第3号議案 その他

     議事終了後、林野庁稲本木材貿易対策室長から「TPPの大筋合意に関する内容説明及び今後の対応」の説明を受けた。

 

4)第3回理事会

    と き;平成28年3月23日()

    場 所;東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル

    議 題;第1号議案 平成27年度事業報告及び収支見込み

        第2号議案 平成28年度事業計画及び収支予算案

        第3号議案 新会員の加入承認について

        第4号議案 その他

        議事終了後、林野庁業務課今井企画官から国有林材のシステム販売について説明を受けた。

 

7 活動状況

 平成27年

  【4月】

    1日 木材チップ市況動向調査

   13日 木材サミット打合せ(秋葉原)

   20日 バイオ燃料打合せ

   24日 林業信用保証連絡協議会(コープビル)

 

  【5月】

    1日 本会会計検査(本会事務室)

    2日 木材チップ市況動向調査

   21日 全国素材生産業協同組合総会(ホテルエドモント)

   25日 全国木材チップ工業連合会理事会・総会(林友ビル)

 

  【6月】

    1日 木材チップ市況動向調査

    4日 林業木材製造業労働災害防止協議会総会(メルパルク)

    8日 広域原木流通検討委員会(林友ビル)

    9日 宮城県木材チップ工業会総会(仙台市)

   17日 林材業ゼロ災推進中央協議会(商工会館)

   19日 林業退職金共済運営委員会(コープビル)

   24日 林業団体懇談会(永田町ビル)

   26日 広域原木流通検討会(林友ビル)

 

  【 7月】

    1日 木材チップ市況動向調査

    9日 木材サミット(秋葉原)

   21日 林業退職金共催運営委員会(コープビル)

 

  【 8月】

    3日 木材チップ市況動向調査

   24日 林産物貿易対策協議会(永田町ビル)

 

  【 9月】

    1日 木材チップ市況動向調査

    7日 (一社)全国木材組合連合会事務局長会議(木材会館)

   14日 林業団体懇談会(永田町ビル)

 

  【10月】 

    1日 木材チップ市況動向調査

 

  【11月】

    2日 木材チップ市況動向調査

   11日 全国木材チップ工業連合会第2回理事会(ホテルメトロポリタン)

   24日 (一社)全国木材組合連合会臨時総会(木材会館)

 

  【12月】

    1日 木材チップ市況動向調査

   22日 広域原木流通検討会(林友ビル)

 

  平成28年

  【 1月】

    4日 新年賀詞交換会(三会堂ビル)

6日 木材チップ市況動向調査

   14日 林産物貿易対策全国協議会(永田町ビル)

   20日 林業団体懇談会(永田町ビル)

 

  【 2月】

    1日 木材チップ市況動向調査

   10日 林産物貿易対策全国協議会(永田町ビル)

   19日 (一社)全国木材組合連合会事務局長会議(木材会館)

   25日 日本林業協会総会(法曹会館)

 

  【 3月】

    1日 木材チップ市況動向調査

    1日 岐阜県木材チップ工業会部会(ぎふ森林文化アカデミー)

   16日 林産物貿易対策全国協議会(永田町ビル)

   23日 全国木材チップ工業連合会第3回理事会(林友ビル)

   23日 林業退職金共済運営委員会(コープビル)

   24日 広域原木流通検討会(林友ビル)


もとのページに戻る