平成28年度事業報告
平成 28年度の我が国経済は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を主とする経済財政政策などアベノミクスの取組の下、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続き、第四四半期(1月〜3月)の国内総生産(GDP)は5四半期連続のプラス成長と、平成17年1〜3月期から18年4〜6月期まで6四半期連続で伸びて以来11年ぶりとなった。これは輸出主導の外需の寄与が続くなか個人消費が持ち直したことによる。
平成28年の木材チップ生産量は、対前年比101.4パーセントの5,826千トンとなった。これは素材が0.4パーセント、工場残材が5.7パーセントそれぞれ増加した一方、林地残材が17.1パーセント、解体材・廃材が1.1パーセントそれぞれ減少したことによる。
また、平成24年度に施行された再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法による木質バイオマスによる発電については、100を越える多くの発電所が新しく構想され、平成27年度以降に新たに大規模な木材チップ需要が生まれると見込まれたが現在時点ではバイオマス発電所の稼働が端緒についた段階で未だ大きなものになったとは言いがたい。
今年3月で未曾有の被害をもたらした「東日本大震災」から6年を経過したものの復興対策は東京電力福島原子力発電所の被害も相俟って依然大きな課題となっている。
特に、原子力発電所事故に伴う放射線被害対策については、国は木材関連の放射性物質基準値の徹底、放射性物質汚染樹皮処理対策に当たるとともに、昨年3月に福島県の森林除染に関する新たな方針、住居周辺の里山に10か所程度のモデル地区をつくり、除染の実証実験や木質バイオマスの利用した林業再生などを内容とした「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」を実施中である。
このような木材チップを取り巻く状況下の中で以下の活動に取り組んだ。
1 合法木材対策への取り組み
合法木材証明等の適正な運営に向けて、当連合会は各地域の認定団体とともに(一社)全国木材組合連合会が開催する研修会への参加や実施状況の把握等に努めるとともに当連合会としても違法伐採に関する自主的行動規範等に基づき、認定団体としての活動を行った。
また、「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリ―ンウッド法)」については、林産物貿易全国対策協議会等主催の説明会に出席するとともに、その情報を会員・賛助会員に提供した。なお、当連合会の第2・3回理事会終了後、林野庁担当官から運用の検討状況の説明を受けた。
表―1 合法木材供給事業者認定団体研修会
区 分 |
日 時 |
場 所 |
備 考 |
第一回 第二回 |
平成28年7月 7日(月) 平成29年2月27日(月) |
東京木材会館 〃 |
「発電用木質バイオマス証明ガイドライン研修会」と合同開催 |
注;(一社)全国木材組合連合会主催
表―2 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律説明会等
区 分 |
日 時 |
場 所 |
備 考 |
第一回 第二回 第三回 第四回 第五回 |
平成28年 4月22日(木) 〃 6月28日(火) 〃 8月30日(火) 〃 10月26日(水) 平成29年 2月15日(水) |
永田町ビル 〃 〃 〃 〃 |
林産物貿易対策全国協議会主催 全国木材組合連合会主催 〃 林産物貿易対策全国協議会主催 〃 |
2 木質バイオマスによる発電利用への取り組み
平成24年7月から施行された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」による木質バイオマスによる発電についてはその原料により、その売電価格が異なることとされた。
当連合会はこの木材チップの取り扱いに関して、平成24年7月10日、「発電利用に供する木質バイオマスの証明に関する自主行動規範」及び「発電利用に供する木質バイオマスの証明に係る事業者認定実施要領」を定め、これに基づき会員(木材チップ生産者)及び賛助会員(木材チップ流通業者)の認定に努め、引き続き、木質バイオマスによる発電利用の促進に努めてきた。
また、2月に開催された(一社)日本木質バイオマスエネルギー協会の認定団体研修「ガイドライン講習会」に参加した。
このほか、7月に開催された岐阜県主催の「発電用木質バイオマス燃料の証明に係わ る研修会」に講師として参加し、「全国の発電利用に供する木質バイオマスの証明に係 わる事業者認定状況と指導状況」の説明等を行った(表―5)。
表―3 認定事業者数(H28.4.1〜H29.3.31) (単位;事業者数)
区 分 |
継 続 |
新 規 |
計 |
会 員 |
21 |
9 |
30 |
賛助会員 |
13 |
11 |
24 |
計 |
34 |
20 |
54 |
(注) @H29.3.31現在の認定事業者数は134者
AH29.3.31現在の会員数は、「会員;69社」、「賛助会員68社」の計137社
表―4 発電用木質バイオマス証明ガイドライン講習会
日 時 |
場 所 |
主 催 |
備 考 |
平成29年 2月27(月) |
東京木材会館 |
(一社)日本木質バイオマスエネルギー協会 |
「合法木材事業者研修」と合同開催 |
表―5 岐阜県発電用木質バイオマス燃料の証明に係る研修会
日 時 |
平成28年 7月28日(木) |
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場 所 |
岐阜県可茂総合庁舎大会議室 |
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参加者 |
約100名(東京、近隣県からも参加) |
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主 催 |
岐阜県、岐阜県森林技術・普及コンソーシアム,岐阜県森林組合連合会 岐阜県木材流通協同組合連合会、岐阜県素材流通協同組合 |
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内 容 |
岐阜県木質バイオマス燃料利用の現状と 行政指導状況 |
岐阜県県産材流通課 倉 田 技術主査 |
県内の発電用木質バイオマス燃料の照明に 係る事業者認定状況と指導状況 |
岐阜県木材協同組合連合会 藤 澤 副会長 |
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全国の発電利用に供する木質バイオマス燃料の証明に係る事業者認定状況と指導状況 |
全国木材チップ工業連合会 大 迫 専務理事 |
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発電利用に供する木質バイオマス承継・契約に 関する法的リスク |
(株)トビムシ エリーパワー(株)知的法務部長 小 林 取締役 |
3 林業労働力確保対策の実施
(1)林材業ゼロ災推進中央協議会の活動
当連合会は林業部会及び木材・木製品部会の委員として活動し、本年度も労働災 害の防止対策の実施に各団体と協力して取り組んだ。
なお、全国素材生産業協同組合連合会から協力依頼のあった素材生産事業体の安全診断実施については4社から申し込みがあった。
(2)林業退職金共済制度への加入促進
林業労働力を確保するための福祉制度として林業者退職金共済制度の充実拡大が 進められており、当会から会長が運営委員として協力してきた。
本年度についても独立行政法人勤労者退職金共済機構が行った林業退職金共済への加入勧奨運動に協力した。
4 木材需給動向収集調査及び情報活動の充実
(1)木材チップの市況需給動向の調査・提供(毎月)
(2)全国のパルプ材・チップ価格の収集・提供(毎月、農林水産省統計情報部)
(3)パルプ材入荷・消費・在庫速報及び実績及び木材チップ輸入量の収集・提供
(毎月、日本製紙連合会、経済産業省、財務省通関統計)
(4)木質バイオマス情報の収集・提供(随時)
(5)需要開発に関する情報収集・提供(随時)
(6)労働災害発生状況に関する情報収集・提供(随時)
5 軽油引取税の課税免除の特例措置の利用状況調査
林野庁からの「軽油引取税の課税免除の特例措置の利用状況調査」協力依頼について、 会員への照会、集計、報告を行った。
なお、回答社数は34社(昨年度54社)であった。
6 総会・理事会
(1)第1回理事会
と き:平成28年5月25日(月)
場 所:東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル
議 題:第1号議案 第60回通常総会提出議題について
第2号議案 新会員・賛助会員の加入承認について
第3号議案 役員の選任について
第4号議案 その他
(2)第59回通常総会
と き:平成28年5月25日(月)
場 所:東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル
議 題:第1号議案 平成27年度事業報告及び収支決算の承認について
第2号議案 平成28年度事業計画及び収支予算の決定について
第3号議案 平成28度会費の賦課及びその徴収方法の決定について
第4号議案 その他
(3)第2回理事会
と き:平成28年11月11日(水)
場 所:東京都豊島区池袋1−6−1 ホテルメトロポリタン東京
議 題;第1号議案 平成28年度事業の進捗状況について
第2号議案 会員・賛助会員の加入承認について
第3号議案 その他
その他;議事終了後、林野庁林政部木材利用課内田林業・木材産業情報分析官から「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」の施行に関する検討状況の説明を受けた。
(4) 第3回理事会
と き:平成29年3月22日(水)
場 所:東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル
議 題:第1号議案 平成28年度事業報告及び収支見込みについて
第2号議案 平成29年度事業計画及び収支予算案について
第3号議案 会員・賛助会員の加入承認について
第4号議案 一般社団化について
第5号議案 その他
その他;議事終了後、林野庁林政部木材利用課内田林業・木材産業情報分析官から「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」の施行に関する検討状況の説明を受けた。
7 活動状況
月 |
日 |
内 容 |
4 |
1 8 22 |
木材チップ市況動向調査 木材サミット打ち合わせ(秋葉原) 林産物貿易対策全国協議会(永田町ビル) |
5 |
2 〃 11 19 20 25 27 |
本会会計検査(本会事務室) 木材チップ市況動向調査 (一社)全国木材組合連合会総会(弥生会館) 全国素材生産業協同組合連合会総会(ホテルエドモント) (一社)林業機械化協会総会(林友ビル) 全国木材チップ工業連合会理事会・総会(林友ビル) 全国土壌改良資材協議会総会(日本教育会館) |
6 |
1 3 10 15 26 28 30 |
木材チップ市況動向調査 広域原木流通検討委員会(林友ビル) 宮城県木材チップ工業会総会(仙台市) 林業団体懇談会(永田町ビル) 全国バーク堆肥工業会総会(日本教育会館) 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の意見交換会 (永田町ビル) 林材業ゼロ災推進中央協議会(商工会館) |
7 |
1 7 14 28 |
木材チップ市況動向調査 第1回合法木材供給事業者認定団体研修(木材会館) 木材サミット(秋葉原) 岐阜県「発電用木質バイオマス燃料の証明に係る研修会」(美濃加茂市) |
8 |
1 30 31 |
木材チップ市況動向調査 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律の意見交換会 (永田町ビル) 林産物貿易対策全国協議会総会(永田町ビル) |
9 |
1 20 |
木材チップ市況動向調査 林業団体懇談会(永田町ビル) |
10 |
3 19 26 |
木材チップ市況動向調査 (一社)全国木材組合連合会臨時総会(木材会館) 林産物貿易対策全国協議会(永田町ビル) |
11 |
1 9 |
木材チップ市況動向調査 全国木材チップ工業連合会第2回理事会(ホテルメトロポリタン) |
12 |
1 27 |
木材チップ市況動向調査 広域原木流通検討委員会(林友ビル) |
1 |
4 〃 10 18 24 31 |
木材チップ市況動向調査 新年賀詞交換会(三会堂ビル) 林材業ゼロ災推進中央協議会第2回「林業部会・木材木材品部会」 (林友ビル) 林業団体懇談会(永田町ビル) 広域原木流通検討委員会(林友ビル) 岐阜県木材チップ工業会部会(ぎふ森林文化アカデミー) |
2 |
1 15 22 24 27 〃 |
木材チップ市況動向調査 林産物貿易対策全国協議会(永田町ビル) 木材サミット(新木場) (一社)日本林業協会総会(法曹会館) 第2回合法木材供給事業者認定団体研修(木材会館) 発電用木質バイオマス証明ガイドライン講習会(木材会館) |
3 |
1 〃 22 23 〃 24 |
吉条良明(一社)全国木材組合連合会会長叙勲祝賀会(帝国ホテル) 木材チップ市況動向調査 全国木材チップ工業連合会第3回理事会(林友ビル) 林業退職金共済運営委員会(コープビル) (一社)全国木材組合連合会理事会(木材会館) 木材・木製品製造業ゼロ災推進全国事務局責任者会議(木材会館) |