平成30年度事業報告
平成30年度の我が国経済は、相次いだ自然災害により、個人消費や輸出を中心に一時的に押し下げられたものの企業収益が過去最高を記録する中で設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど経済の好循環は着実に回りつつあったが年明け移行は後退局面入りのリスクが懸念される状況となった。
平成30年の木材チップ生産量は、570万6千トン、前年に比べ24万8千トン(4.2%)減少した。これを原材料別にみると、素材(原木)は前年に比べ7万4千トン(2.9%)、工場残材は9万1千トン(4.2%)、林地残材は2万2千トン(17.3%)、解体材・廃材は6万4千トン(5.9%)それぞれ減少した(林野庁「平成30年木材統計」、同31年4月25日公表)。
また、同29年にエネルギーとして利用された木質バイオマスの量は、木材チップで前年比の873万絶乾トン(前年比12.8%増)、木質ペレットで38万トン(75.2%増)などであった。このうち、由来別の木材チップ利用量は、間伐材・林地残材等は前年比37.4%増の263万絶乾トン(構成比30.2%)、製材等残材は前年比9.0%減の150万絶乾トン(構成比17.2%)、建設資材廃棄物(解体材、廃材)は前年比の3.7%増413万絶乾トン(構成比47.3%)であった(林野庁「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」、同30年12月20日公表)。
今年3月で未曾有の被害をもたらした「東日本大震災」から8年を経過したものの復興対策は東京電力福島原子力発電所被害も相俟って依然大きな課題となっている。特に、原子力発電所事故に伴う放射線被害対策については、国は「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」(平成28年3月)に基づき、引き続き、県・市町村と連携しつつ、生活環境の安全・安心の確保、住居周辺の里山再生、奥山等の林業の再生に向けた取組み、情報発信等を実施中である。
このような木材チップを取り巻く状況の中で以下の活動に取り組んだ。
1 合法伐採木材の流通及び利用の促進
一昨年5月に施行された「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(クリ―ンウッド法)」については、(一社)全国木材組合連合会主催の「合法伐採木材利用促進全国協議会」(表―1)等に出席するとともに適切な運用が図られるよう木材関係団体との連携や情報交換に努めた。
このほか、会員・賛助会員に対して、林野庁ホームページ「クリーンウッドナビ」の紹介、登録実施機関決定等の情報提供を行った。
また、違法伐採木材に関する自主的行動規範等に基づき、認定団体としての活動を行った。
表−1 合法伐採木材利用関係会議
会 議 |
日 時 |
場 所 |
主 催 |
備 考 |
合法伐採木材利用促進全国協議会 |
H30.12.20(木) |
永田町ビル |
全木連 |
28団体参加 |
合法木材供給事業者認定団体打合せ |
H31.03.04(月) |
木材会館 |
〃 |
95団体参加 |
1 木質バイオマスによる発電利用への取り組み
(1) 事業者認定状況
平成24年7月に施行された「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」による木質バイオマスによる発電についてはその原料により、その売電価格が異なることとされた。
当連合会はこの木材チップの取り扱いに関して、同年7月10日、「発電利用に供する木質バイオマスの証明に関する自主行動規範」及び「発電利用に供する木質バイオマスの証明に係る事業者認定実施要領」を定め、これに基づき会員(木材チップ生産者)及び賛助会員(木材チップ流通業者)の事業者認定を行い、木質バイオマスによる発電利用の促進に努めてきた。
本年度の認定事業者数、新規は4事業者、継続は59事業者、計63業者であった。 その結果、3月31日現在の認定事業者数は145となった。
なお、本年度、認定期間満了の認定事業者のうち、6事業者(会員4、賛助会員 2)は、継続認定手続を行わなかった(表−2)。
表−2 木質バイオマス事業者認定状況(4月1日〜3月31日)(単位;事業者)
区 分
|
会 員
|
賛助会員
|
計
|
認定事業者
(3月31日現在) |
新 規 |
― |
4 |
4 |
|
継 続 |
34 |
25 |
59 |
計 |
34 |
29 |
63 |
145 |
(2) 認定事業者に対する指導
ガイドラインに基づく適切な運営を期するため、認定事業者に対して、更新時に おける面談又は電話・Mail(面談以外の者)やガイドライン運用の適性化チェックリ ストの作成・配布等による指導を行った。
また、認定事業者を対象とした「発電利用に供する木質バイオマス証明に係わる 研修会」は(一社)日本木質バイオマスエネルギー協会の全面的な支援のもと、東京 都及び熊本県において開催し、東京会場は65名、熊本会場は43名の参加者を得た。 なお、熊本会場は熊本県チップ協会の会員に加え、行政機関、木材組合団体の参加も あった(表−3)。
立入検査は東京都の1事業者及び熊本県の4事業者、計5事業者について行った。
表−3 研修会の概要
場 所 |
東 京 都 |
熊 本 県 |
年月日 |
平成31年1月15日(火) |
平成31年2月4日(月) |
場 所 |
林友ビル6F会議室(文京区) |
八代ホワイトパレス(八代市) |
参加者
|
首都圏所在の認定事業者
(45事業者、65名) |
熊本県所在の認定事業者等
(43名) |
内 容
(講師)
|
○「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」の
適切な運用について
((一社)日本木質バイオマスエネルギー協会
主任専門調査員兼特別研究員 前川 洋平氏)
○発電利用に供する木質バイオマスの証明に係わる事業者認定事務について(全国木材チップ工業連合会 専務理事 大迫 敏裕) |
表−4 認定事業者に対する指導文書(履歴)
年 月 日 |
文 書 名 |
H 29年7月末 |
情報提供森林の管理・活用に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告 |
29年12月05日
|
総務省の木質バイオマスについての行政評価・監視内容(H29.7.4公表)に係わる説明会(林野庁)を受けての対応について |
29年12月28日 |
取扱実績及び変更届の提出について |
30年 1月31日 |
取扱実績の提出について |
3月31日 |
木質バイオマス証明ガイドラインの適正化チェックリストの活用について |
4月27日 |
取扱実績及び代表者等変更届の提出について |
7月31日
|
「発電利用に係わる木質バイオマス証明のためのガイドライン」の適切な運用 について |
10月23日 |
発電利用に供する木質バイオマス証明に係わる研修会について(開催案内) |
31年3月4日
|
発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドラインの適切な実施について(エネ庁注意喚起) |
注;平成29年度に係わる文書も記載
3 林業労働力確保対策の実施
(1)林材業ゼロ災推進中央協議会の活動
当連合会は林業部会及び木材・木製品部会の委員として活動し、本年度も労働災 害の防止対策の実施に各団体と協力して取り組んだ。
(2)林業退職金共済制度への加入促進
林業労働力を確保するための福祉制度として独立行政法人勤労者退職金共済機構 の林業者退職金共済制度の充実拡大が進められており、本年度についても林業退職 金共済への加入勧奨運動に協力した。
なお、当連合会から会長が運営委員として協力している。
4 木材需給動向収集調査及び情報の提供
木材チップ等に関する各種情報を収集・分析し、会員・賛助会員に提供するとともに 木材チップ市況やパルプ材価格等は当連合会ホームページに掲載した。
(1)木材チップの市況、需給動向の調査・提供・ホームページに掲載(毎月)
(2)全国のパルプ材・チップ価格の収集・提供・ホームページに掲載(毎月、
農林水産省統計情報部)
(3)パルプ材入荷・消費・在庫速報及び実績並びに木材チップ輸入量の収集・提供
(毎月、日本製紙連合会、経済産業省、財務省通関統計)
(4)木質バイオマス情報の収集・提供(随時)
(5)需要開発に関する情報収集・提供(随時)
(6)労働災害発生状況に関する情報収集・提供(随時)
(7) 林野庁予算等行政情報の収集・提供(随時)
(8) 災害情報、復旧事業情報の収集・提供(随時)
(9) その他
5 会員・賛助会員の異動状況
本年度の会員・賛助会員の異動状況は、加入は賛助会員1社、脱退は会員3社、賛助会員3社の計6社であった。この結果、本年3月31日現在、会員は69団体・社、賛助会員は70団体・社、計139団体・社となった。
表−5 会員・賛助会員の異動状況 (単位;団体・会員)
区 分
|
加 入
|
脱 退
|
増 減
|
総 数
(3月31日現在) |
会 員 |
0 |
3 |
△3 |
69 |
賛助会員 |
1 |
3 |
△2 |
70 |
計 |
1 |
6 |
△5 |
139 |
6 総会・理事会
(1) 総会
第62回通常総会
と き:平成30年5月23日(水)
場 所:東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル6F会議室
議 題:第1号議案 平成29年度事業報告及び収支決算の承認について
第2号議案 平成30年度事業計画及び収支予算の決定について
第3号議案 平成30度会費の賦課及びその徴収方法の決定について
第4号議案 定款の一部改正について
第5号議案 その他
(2) 理事会
ア 第1回理事会
と き:平成30年5月23日(火)
場 所:東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル6F会議室
議 題:第1号議案 第62回通常総会提出議案について
第2号議案 会員・賛助会員の加入及び脱退の承認について
第3号議案 その他
イ 第2回理事会
と き:平成30年10月16日(火)
場 所:東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル6F会議室
議 題;第1号議案 平成30年度事業の進捗状況について(10月30日現在)
第2号議案 平成30年度収支状況について(9月末現在)
第3号議案 その他
(意見交換会);国有林材の販売について
ウ 第3回理事会
と き:平成31年2月20日(水)
場 所:東京都文京区後楽1−7−12 林友ビル6F会議室
議 題:第1号議案 平成30年度事業報告案及び収支見込みについて
第2号議案 平成31年度事業計画案及び収支予算案について
第3号議案 除名決議案提出(平成31年度総会)について
第4号議案 退職金規程の一部改正について
第5号議案 その他
(林野庁説明)「新たな森林管理システムを円滑に進めるための国有林からの木 材供給対策」について
7 行事等
月 |
日 |
内 容 |
4 |
2 |
木材チップ市況需給動向調査 |
5
|
1
〃
15
〃
23 |
木材チップ市況需給動向調査
当連合会会計監査(当連合会事務室)
(一社)全国木材組合連合会総会(メルパルク東京)
中央団体への消費税軽減税率制度説明会
(農林水産省経営局総務課、三田共用会議所(講堂(1階))
当連合会第1回理事会・第62回総会(林友ビル6F会議室) |
6
|
1
5
8
10
12
15
18
22
25
26 |
木材チップ市況需給動向調査
全国バーク堆肥工業会会計監査(当連合会事務室)
(一社)林業機械化協会総会(ミツヤ虎ノ門ビル)
第69回全国植樹祭(福島県内)
林業団体懇談会(森林・林業白書説明、永田町ビル)
宮城県木材チップ工業会総会(仙台市)
第1回原木等需給情報共有化対策事業検討委員会
((一財)日本木材総合情報センター、林友ビル6F会議室)
外国人技能研修制度説明会(永田町ビル)
全国バーク堆肥工業会第42回総会(日本教育会館)
林材業ゼロ災推進中央協議会部会・会計監査(林友ビル) |
7
|
2
4
11
25 |
木材チップ市況需給動向調査
林材業ゼロ災推進中央協議会総会(商工会館)
西日本豪雨災打合せ(林野庁、8F A、B会議室)
木質バイオマス認定事業者立入検査(熊本県内) |
8 |
1 |
木材チップ市況需給動向調査 |
9
|
3
14
〃
26 |
木材チップ市況需給動向調査
林産物貿易対策全国協議会総会(永田町ビル) 林業団体懇談会(H31年度予算要求等説明、永田町ビル)
きのこ原木安定供給に係る検討委員会(特用林産振興会、KKRホテル東京) |
10
|
1
16
24
〃 |
木材チップ市況需給動向調査
当連合会第2回理事会(林友ビル6F会議室)
第55回全国林材業労働災害防止大会(福島県郡山市)
木質バイオマス認定事業者立入検査(東京都) |
11
|
1
7
13
13
15
17
18 |
木材チップ市況需給動向調査
宮崎みどり製薬(株)研修会(ホテルメトロポリタン東京)
(一社)全国木材組合連合会理事会・臨時総会(木材会館)
全国バーク堆肥工業会秋期合同研修(沖縄県内)
第42回全国育樹祭(東京都内)
|
12
|
3
20
28 |
木材チップ市況需給動向調査
合法伐採木材利用促進全国協議会((一社)全国木材組合連合会、永田町ビル)
木材チップ市況需給動向調査 |
1
|
7
15
23 |
新年賀詞交歓会((一社)日本林業協会、三会堂ビル)
発電利用に供する木質バイオマス研修会(首都圏)(林友ビル6F会議室)
林業団体懇談会(H31年度予算説明、永田町ビル) |
2
|
1
4
5
20
22 |
木材チップ市況需給動向調査
発電利用に供する木質バイオマス研修会(熊本県、八代ホワイトホテル)
木質バイオマス認定事業者立入検査(熊本県内)
当連合会第3回理事会(林友ビル6F会議室)
(一社)日本林業協会総会(法曹会館) |
3
|
1
4
7
19
20
27 |
木材チップ市況需給動向調査
合法木材供給事業者認定団体打合せ((一社)全国木材組合連合会、木材会館)
土づくりコンソーシアム設立総会(TKPガーデンシティ竹橋)
(一社)全国木材組合連合会理事会等(木材会館)
岐阜県チップ工業会全体会議(ぎふ森林文化センター) |
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