全国木材チップ工業連合会 創立50周年誌巻頭祝辞

    林野庁長官 皆川 嗣 

このたび、全国木材チップ工業連合会が創立50周年を迎えられたことを、心からお慶び申し上げます。

貴連合会が昭和35年の設立以来半世紀にわたり、我が国の木材チップ業界の中心的な団体として、業界の発展に大きく貢献してこられたことは、日頃のたゆまぬ献身的な御努力の賜物であり、深く敬意を表するものであります。

 我が国の木材チップ製造業は、戦後の復興期に住宅建築などの木材需要が急激に増大する中で、製材端材や建設廃材処理の担い手として興ったことが始まりでした。

 その後、紙の品質水準の高まりによる輸入広葉樹チップへのシフト、オイルショックを背景とした輸入チップ価格の高騰、プラザ合意による円高に伴う輸入チップの再急増、バブル崩壊による経済全体の低迷、製紙業界再編による木材チップ工場の減少など、木材チップ製造業は、まさに激動の時代を駆け抜けてきました。

 近年では、古紙偽装問題に端を発した間伐材等の由来の明確な原料調達の要請、経済の長期的な低迷にる住宅着工数の伸び悩み、製材端材や建設廃材の枯渇によるチップ需給の逼迫といった新たな課題も見受けられます。

 また、国際的な課題である地球温暖化防止に向け、木材チップをはじめとする地域資源を、燃料利用を始め様々な分野で循環利用することで、環境負荷を低減していくことも大きな課題となっており、木材チップ製造業は、この分野でもこれまで以上に重要な役割を担うものと考えております。

 こうした中、平成2112月に公表された「森林・林業再生プラン」における「10年後の木材自給率50%以上」の達成に向け、林野庁では利用間伐の推進や地域材供給の倍増対策等を通じて、紙パルプや繊維板分野での国産材への原料転換や木質バイオマスの利用促進などを進めていくこととしております。

 これらの施策の推進に当たりまして、貴連合会の皆様の一層の御協力をお願い申し上げます。

 おわりに、貴連合会が、この栄えある創立50周年を契機といたしまして、さらに意欲的な活動を展開され、我が国の林業・木材産業の発展に寄与されるとともに、これからの環境産業の一翼を担い、益々飛躍されますことを御期待申し上げます。

 あわせて、会員の皆様の御健勝と御発展を心より祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。