50周年を迎えて

          全国木材チップ工業連合会

                       会長  岩切 好和

 全国木材チップ工業連合会は、今年、創立50周年を迎えました。

 本会の前身は、昭和32年に全国木材組合連合会のご協力により設立された全国木材チップ工業連絡会ですが、紙パルプ産業界の木材チップ産業に対する強いご期待もあり、昭和35年に、連合会組織として発展的に本会が設立されたものであります。

 爾来50年の長き日が経過しましたが、その歴史を振り返ってみますと設立当初の昭和30年代には、初代の村松八郎会長のもとで、産業基盤の確立と組織の強化がなされ、当時の森林資源協議会のご協力をいただき、技術面では、林業試験場のご指導も頂き、機械メーカーの開発協力も大きな力となっておりました。

 昭和40年代以降、木材チップ産業の社会的使命がますます増大していく中で、全幹集材による林地残材の活用を図るとともに、電気税の非課税、軽油取引税の免税、チップ専用貨車の増加などが実現しました。また、国有林材のチップ工場への直接販売の実現は画期的なことでした。

 さらに、本会創立重要課題でありました検量方法の統一についても、林野庁林産課、林業試験場の専門家のご指導も得て10年間にわたって検討し、一定の方向が見いだせておりますが、このことは本会の大きな課題として現在も引き続いております。

 昭和50年代には、紙パルプ原料としての省資源、コストダウン対策として、古紙の利用が増え、また、原材料価格の高騰騒ぎもあり、木材チップ産業は苦境に立たされることになりましたが、以来厳しい不況が続いたことは記憶に深く残っております。

 昭和60年代から平成の初めにかけて、為替の変動相場の基で円高が進行し、紙パルプ産業は増大する需要を海外の木材チップ資源に仰ぎ、輸入チップの比率は5割を超えて増加するようになりました。

 平成10年代からは、紙パルプ産業の原材料輸入依存率はますます高まり、昨今のデフレ不況と相まって国産木材チップ産業は誠に厳しい状況におかれております。

 このような厳しい状況の中で、本会は創立50周年の記念すべき節目を迎えたわけですが、私どもは次の50年を視野に置き、資源の確保、労働力の確保、生産コスト減、新規需要の開拓などについて尚一層の努力を重ね、今後増大するであろう紙パルプ産業、繊維板産業、また新しいバイオマス産業の要望に応えていくことを誓う者であります。

 これまでお世話になりました関係各位に深甚の感謝を申し上げ、今後もこれまで以上のご指導、ご鞭撻をお願いして、50周年式典のご挨拶とさせていただきます。