50年のあゆみ

           (平成元年以前は「30年のあゆみ」を参照)

 

平成2年度(1990)

     需要拡大対策研究会を開催、「木材チップ工業の課題」として取り纏め報告

     新規に木材産業高次加工化等促進事業を実施

     地価税創設への対応

     創立30周年記念総会を開催、功労者を表彰

 

平成3年度(1991)

 木材チップ業界は、紙・パルプ業界の生産調整、輸入チップへのシフト、チップ価格の長期低迷に加え、資源の減少事情、労働力の減少・高齢化等によるコスト圧迫から、創業以来の経営危機に追い込まれている。

     紙パルプ需要の減退に対応、国産チップの需要拡大、生産振興に努めた。

     木材産業高次加工化等促進事業を8工場で実施した。

     会長が小林健一氏から藤島直一氏に交代、小林氏、勲四等瑞宝章受章。

 

平成4年度(1992)

 木材チップ業界は、景気後退による紙・プルプ業界等の不況による入荷規制、市況低迷によるチップ価格の値下がり及び生産量減少によるコストアップ等から経営収益の減少、操業度の低下に伴う休業や工場閉鎖など極めて深刻な経営危機が続いている。

     雇用調整助成金の対象業種の指定を受けた。

     木材チップの価格、流通、在庫などの市況調査を本年以降毎月行った。

     林野庁において木材チップ対策協議会が設置された。

     平成39月来襲の台風17〜19号の被害木の伐採搬出に九州地区会員が多大な協力を行った。

 

平成5年度(1993)

 木材チップ業界は、紙・パルプ業界等の不況による受け入れ規制、円高進行による輸入チップとの価格競合の影響を受け、広葉樹チップを中心として大幅な生産減少となり、チップ工場は半操業の実態となるなど極めて深刻な状況に陥っている。

     林野庁木材チップ対策協議会が開催され、業界の今後の方向が提言された。

     中小企業信用保険法に基づく不況業種の指定が行われた。

     木材産業ビジョンを検討し、チップ産業について木材チップ部会報告書を刊行した。

 

平成6年度(1994)

 木材チップ業界では、針葉樹チップが紙・パルプの伸びに応じて生産増加となってきたが、価格は引き続いて低迷している。一方、広葉樹チップは急騰が続く円高による輸入チップとの価格差の影響を受け、生産量は3年連続して二桁の減少をし、チップ工場は相当数が休業、廃止を行うなど極めて深刻である。

     木材産業高度化総合対策事業によるチップ工場の再編整備を行う。

     林野庁補助事業、木材チップ安定取引促進事業を実施し、品質区分の標準化を図った。

     木材需給中央協議会にチップ部会が設けられ、地方では全国6ブロックで情報交換が行われた。

     トラック過積載問題に対応した。

     藤島直一会長、勲五等双光旭日章を受章。

 

平成7年度(1995)

 木材チップ業界では、針葉樹チップが紙・板紙の需要の伸びと内外の価格競合とから前年以上の生産量となったが、広葉樹チップは円高基調の中で輸入チップとの価格差の影響を受け、生産量は引き続き減少傾向を辿っている。国産チップ業界はこのような長期に亘る生産減と価格低迷から依然として厳しい経営状況が続いている。

     農林水産省、消費者の部屋に「木材チップの新規用途」と題して特別展示を行った。

     特定雇用調整業種の適用申請を行い、業種指定を受けた。

     「木材チップ需給の動向と国有林の低質広葉樹供給の調査事業」を国有林野事業から受託し、調査を行った。

 

 

平成8年度(1996)

 木材チップ業界では、針葉樹チップが紙・板紙の需要の伸びから引き続き前年以上の生産量となった。一方、広葉樹チップは依然として輸入チップとの価格競争から生産量は引き続き減少傾向を辿り、国産チップ使用比率も20%を切る状況となった。広葉樹チップ専業工場においては、チップ工場の再編整備を進めるとともに、新たな需要開発に取り組んでいるが大口の需要にはまだ至っていない。

     広葉樹資源の持続的利用に関する調査事業を行った。

     ウッドチップの畜産的利用専門部会により、畜産利用について調査を行った。

  ○ 木材産業高度化支援促進事業、特定雇用調整事業を引き続き実施した。

 

平成9年度(1997)

 国産木材チップ業界は、針葉樹チップが製材業等木材産業の不振を受けて生産量は減少しており、広葉樹チップについては輸入チップとの価格競争から生産量は引き続き減少傾向を辿っている。これらの状況は地域によって相当の差が見られるが、チップ工場の閉鎖や操業の休止は未だに続いており、チップ製造業の経営は相変わらず厳しい状況にある。

     林野庁補助事業、木材チップ利用分野開拓事業を行った。

     JRA助成事業、木材チップの新利用方法に関する調査研究事業を南九州木材事業協同組合と共同で行った。

     日本木材総合情報センターのスギ等工場残材のチップ等利用推進方向調査事業を受託して調査を行った。

 

平成10年度(1998)

 国産木材チップ業界は、針葉樹チップが製材業等木材産業の不振及び紙・パルプ業界の需要減を受けて対前年度比7%のマイナスとなり、広葉樹チップは輸入チップとの価格競争から生産量は6%の減少となっている。チップ価格については、4,10月の一斉値下げの他、五月雨的な値下げにより低迷状態で推移した。これらの状況は地域によって相当の差が見られるものの、チップ価格の低迷も加わってチップ工場の閉鎖や操業休止が続き、チップ製造業の経営は一層深刻度を増している。

     平成9年度からの木材チップ利用分野開拓事業、木材チップの新利用方法に関する調査研究事業を引き続き行った。

     日本木材総合情報センターの木質系残廃材を原料とするチップ製造業等の調査事業を行った。

 

平成11年度(1999)

 国産木材チップ業界は、紙・板紙の需要が前年を上回り需要回復の兆しが見えてきた状況を反映して、針葉樹チップはほぼ前年度並に回復した。一方、広葉樹チップは輸入チップとの価格競争から生産量は5%の減少となっている。チップ価格については、4,10月の値下げもあり、全体的に低迷状態で推移した。チップ工場の閉鎖や操業休止は続き、チップ製造業の経営は低迷状況が続いている。

     前年に続き、木材チップ利用分野開拓事業、木材チップの新利用方法に関する調査研究事業、木質系残廃材を原料とするチップ製造業等の調査事業を行った。

     針葉樹パルプ・チップ供給に関する調査を国有林野事業から委託を受け実施した。

     木材需給中央協議会チップ部会が引き続き開催され、地方では全国6ブロックで情報交換が行われた。

 

 

平成12年度(2000)

 国産木材チップは、紙・板紙の需要拡大や製品価格の回復など製紙業界の需給状況を反映して、針葉樹チップの需要はやや増加したが、製材業等木材産業の不振の影響を受けて原料入荷に問題が生じている。一方、広葉樹チップは輸入チップとの価格競争から生産量は更に減少傾向を続け、対前年度比6%の減少となった。こうした中でチップ価格は、輸入チップとの競合等から定期的に引き下げがあり、チップ製造業の経営は厳しい状況に置かれている。

     間伐材等新利用分野開拓事業及び間伐材商品の市場開拓調査を行った。

     木質系粗飼料実用化実証事業をJRAの助成を受けて実施した。

     中小企業信用保険法に基づく特定業種の指定が再度本年4月以降になされた。

 

平成13年度(2001)

 国産木材チップについては、引き続く景気低迷、紙パルプ産業の輸入チップへのシフト、古紙の使用増大などの影響を受け、生産量は針葉樹4%、広葉樹は12%と大きく減少した。こうした状況の中でチップ価格は、市場のグローバル化による価格競争、企業合併によるコスト改善徹底などにより、引き下げが続き、チップ製造業の経営は極めて厳しい状況に立ち至っている。

     前年に引き続き、間伐材等新利用分野開拓事業及び木質系粗飼料実用化実証事業を行った。

     全国6ブロックにおいて、地域木材チップ需給対策協議会が引き続き開催された。

     林業者退職金共済制度については、新たに独立行政法人勤労者退職金共済機構が設けられ、その運営に協力し、加入促進に努めた。

 

平成14年度(2002)

 国産チップ製造業は、紙・パルプ業界へのチップ供給を主体に事業を進めてきたが、近年における紙・パルプ業界の原料受け入れ体制の海外への依存、また、リサイクル推進による古紙需要の増大等から国産チップの消費は大きく減少し、更に景気後退による需要の停滞から価格競争も激化し、非常に苦しい状態で推移している。

     引き続き、間伐材等新利用分野開拓事業及び木質系粗飼料実用化実証事業を行った。

     木材需給中央協議会において国産チップを巡る状況、今後の対応について報告を行うとともに、全国6ブロックの地域木材チップ需給対策協議会が引き続き開催され、地域の情報、意見交換が行われた。

     建築リサイクル勉強会が開催され、積極的に参加した。

 

 

平成15年度(2003)

 国内景気は、大手企業を中心に回復の兆しもあるが、紙・パルプ業界の国産チップ受け入れは広葉樹チップを中心として海外依存度が高くなり、古紙使用の増加などとも相まって、国産チップの需要構造は大きく変化してきた。このような情勢の中で、中小企業の多い国産チップ製造業は、需要の減退、価格の低下など厳しい経営環境に引き続き置かれていることは論を待たない。

     引き続き、間伐材等新利用分野開拓事業を行うとともに、新たに木質系粗飼料実用化モデル調査事業を行った。

     労災保険が業種統合により引き下げられたが、死亡災害が増加し、緊急対策を関係団体と一体となって実施した。

     会長が藤島直一氏から笹森篤氏に交代した。

 

平成16年度(2004)

 国産木材チップは、紙・板紙の生産出荷の増大に伴いチップ生産量は針葉樹チップを中心に増加したが、広葉樹チップは時期的には前年度比増も見られたものの、全体的には減少傾向で推移した。また、価格についても低価格競争や企業合理化の推進等から据え置きや引き下げがあり、厳しい1年となった。

     間伐材等新利用分野開拓事業の最終年度で事業を完了した。

     引き続き、木質系粗飼料実用化モデル調査事業を行った。

     木材流通対策協議会が全国4ブロックで開催された。

 

 

平成17年度(2005)

 木材産業界は、耐震強度偽装問題等の社会問題が発生し、新設住宅の増大に陰りが感じられるようになった。一方、国産木材チップ業界は、紙・板紙の生産出荷の堅調な需要に伴い、チップ生産量は針葉樹チップを中心に増加し、広葉樹チップについても対前年比で増加するなどやや明るい兆しが見られるようになった。しかし、価格については長期に亘る低迷が続き、チップ製造業は依然として厳しい経営状況にあることは変わらない。

     日本製紙連合会幹部他によるチップ需給に関する専門的な勉強会を開催した。

     引き続き、木質系粗飼料実用化モデル調査事業を行うとともに、新たに木質バイオマス利用推進緊急総合対策の一環として木材チップの利用供給対策事業を実施した。

     違法伐採対策について積極的に取り組みを行った。

 

 

 

平成18年度(2006)

 近年、アジア、特に中国における紙需要の増加に伴って、チップ需要の増加や古紙の使用率が増加してきたこと等から、国産チップの需給状態も大きく変わりつつある。また、バイオマス利用の取り組みが進み、建築解体材チップなど原木以外のチップ需要が増加し、木材チップの利用状況が変化し増大してきている。一方、木材価格の長期低迷による森林所有者の伐採見送り、高齢化などによる素材生産業者の減少等から原木材料が不足する状況になっており、原木を主体とするチップ製造業の困難は続いている。

     引き続き、木質系粗飼料実用化モデル調査事業及び木材チップの利用供給対策事業を実施し、新規需要の開発、バイオマス利用の推進に努めた。

     違法伐採対策に係る自主的行動規範を定め、各地方チップ団体が合法木材の認定機関となり、チップ製造工場の合法認定を行った。

 

平成19年度(2007)

  地球温暖化防止対策の上から森林整備の重要性が認識され、利用低位な状態にある間伐材や林地残材を低コストでいかに有効に利用するかが大きな関心を集め、木材チップの利用対策が焦眉の急となってきた。また、為替の変動からチップ価格の内外差も生じており、国内資源の不足も相まってチップの原料対策も急速にクローズアップされてきている。

このような状況から国産チップ製造業は、量的かつ価格的に厳しく、安定した経営からはほど遠い状況にある。

     専門家による国産木材チップ業を巡る協議会を開催し、紙パ業界、試験研究機関と意見交換を行った。

     木質系粗飼料の供給拡大のための木材チップ蒸煮液処理技術の開発事業を行った。

     公募された林野庁の木材チップの利用供給対策事業に応募し、事業を実施した。

     会長が笹森篤氏から岩切好和氏に交代、笹森氏、旭日小綬章を受章。

 

平成20年度(2008)

  米国初の住宅サブプライムローン破綻による世界的な金融危機の進行に伴い、我が国経済も不況傾向が顕著に表れてきた。国内消費も雇用情勢、所得環境の悪化により減少傾向となっている。特に木材産業については平成19年の建築基準法の施行に伴う大幅な住宅建築の減少、引き続く木材価格の低迷などにより先行きの不透明感が拭えない。

国産木材チップ業界も円高の進行などによる長期に亘る厳しい経営状況が続いているが、最近に至り国産チップ需要量の増加やチップ価格の上昇傾向など本年は回復傾向が一時見られたが、年度末にかけて再び厳しい状況に落ち込んでいる。 

     林野庁主催の間伐材チップの紙製品への利用促進に係る意見交換会が4回開催され、中間報告がなされた。

     間伐材チップの確認のためのガイドラインに基づき、自主的行動規範を定め、間伐材を扱うチップ製造業者の認定を行うこととした。

     合法木材についても本連合会が認定団体としてチップ製造業者の認定を行うこととした。

 

平成21年度(2009)

 我が国のデフレ不況の進行に伴い新設住宅着工数は、80万戸を割る大幅な減少となり、製紙需要も対前年度比2割減と20年前の水準にまで低下してしまった。このような情勢のもとで国産木材チップの生産も1割減と業況は極めて厳しく、価格も引き続き低迷しており、歴史的な政権交代後も先行きの不透明感は未だ払拭できない厳しい状況になっている。

     林野庁の公募事業、製紙用間伐材チップの安定供給支援事業に応募し、本事業を全国8地域などで実施した。

     間伐材の分別管理に関する自主的行動基準に基づく間伐材チップ事業者認定実施要領により、認定申請のあったチップ工場を認定した。

 

平成22年度(2010)

  ○ 引き続き公募された林野庁の製紙用間伐材チップの安定供給支援事業に応募し、本事業を全国7地域などで実施した。

     本連合会は、創立50周年を迎え、記念式典を開催し功労者を表彰した。

 

 

「参考資料 林政年表」


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