外国の樹木についての質問とお答え


酔っぱらいの木 投稿者:鈴木

アルゼンチン原産で、パンヤ科の「コリシア ウェントリコサ」は、アルゼンチンでは、 パラボラチョ(酔っ払いの木)と呼ばれているそうですが、この刺だらけの太い木、な ぜ酔っ払いの木なのか教えてください。 幹からは丸木舟を作り、果実からは綿が取れるそうですが。

お答え

 ごの木は、ご質問のとおり、パンヤ科 Bombacaceae の Chorisia 属 の種で、この属には、
Chorisia speciosa 桃色の花、ブラジル原産、
Chorisia insignis 白色クリーム色の花、ブラジル原産、
Chorisia ventricosa アルゼンチン原産
Chorisia shottii
などの種があります。
 一般に、Chorisia speciosa をトックリノキ、トックリキワタ、 ヨッパライノキと呼んでいますが、 英名は、Floss Silk Tree(繭綿の木、かま糸の木の意)、 現地名は、 Palo Borracho (Palo 木、Borracho 酔っぱらい) ですので、この現地名(スペイン語)を訳して ヨッパライノキと付けたものです。(英語でも drunk tree とも呼ばれます。)
 現地で何故このような名になったのかはわかりません。(多分、太い幹が酔っぱらいのビール腹を連想させるためでしょうが。)
 ただ、現地名直訳のヨッパライノキは面白いのですが、あまり定着していず、 本などでも、トックリノキ、トックリキワタを使っている例の方が多いようです。
gooなどでインターネットを検索しても、 トックリキワタで検索すると、Chorisia speciosa などが 80例でてきますが、ヨッパライノキで検索しますと、あまり出てきません。
 外国の樹木の和名は、一般には無いことが多いのですが、あっても紹介者が、 現地名、英名、学名の意味、音などから名づけて、色々なものがあり、 なかなかこれと定着しません。
 このように、外国の樹木の名は、現地名、英名、和名も人によって色々な表現を されますので、学名で書けば、世界中に共通ですし、間違いがありません。
(学者によって違う学名を採用している例も無いわけではありませんが。)
ただ、学名をカナで書くのは、発音記号のようなもので、外国人には 通用しませんし、国によっても日本人の間でも発音の仕方は異なりますので、 やはりラテン語の綴りを書いた方が良いと思います。
また、カナから原語への復元は、一般に難しいことですし。
ヨッパライノキ Chorisia speciosa のように書くのがよいと思います。
 こうしておけば、たとえば、Chorisia ventricosa を goo、infoseek、google、Lycos、exciteなどのロボット形の検索ページ で検索すると世界中のページから、Chorisia ventricosa に関する情報が 集められます。

 これは、日本の木でも同じで、アスナロ Thujopsis dorabrata なども、 地域によって、アテ、ヒバ、アスヒ、シロヒ、ヒノキ(勿論ヒノキは、Chamaecyparis obtusa を指すのが、標準的な和名です。)に至るまで、
呼び方が色々ありますので学名を付けておいた方が紛れがありませんし、外国の方にも通じます。

Chorisia 属については、外国のホームページは一杯ありますが、 日本のページは

トックリキワタ
トックリキワタ 2

などにあります。

 また、たまたま、私がエジプトに行ったとき、ギザのホテルやルクソールの 街路樹に、Chorisia speciosa 、Chorisia insignis が植えてあったので その写真を載せたページ(トックリノキ類と書いてあります。) がありますので時間があったらご覧下さい。

エジプトで見られる木と花



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