外国の樹木についての質問とお答え


どなたかご存知の方教えて下さい 投稿者:ISAO  投稿日:07月03日(月)16時57分14秒

イタリアでの天然染料染めで、こんなものから抽出したもので染めているらしいのですが、どんな植物(和名)かご存知の方は教えて下さい。
・Haematoxylon campechianum


お答え

 この木については、良く知りませんでしたので、
2,3書物を調べて見た結果をお知らせします。
この木の学名は、お書きになったとおりです。
(haemato-は、赤い、血の意。xylonは、木の意で
木の幹が赤黒いことから名づけられたもの。)
一般名は英語圏では、Logwood と言うようです。
和名は、日本に分布していないのでありませんので、
ログウッドとでも呼ぶしかありませんね。
マメ科の中でジャケツイバラ亜科に分類されています。
常緑の低木で小葉4枚の羽状複葉(ハギなどの葉などにやや似ています)。
花は黄色の小さい花で、材に染料などになるヘマトキシリン(Haematoxylin)を
含んでいます。
 原産は、熱帯アメリカでメキシコから西インド諸島に分布していますが、
産業的には、ホンジュラス、ジャマイカ、サントドミンゴに大規模に植え
られているようです。
 ヘマトキシリンは、紫色の染料に使われますし、細胞の核染色にも
使われています。また、敗血症などの医薬品にも使われるようです。
もっと詳しくお知りになりたければ、次ぎのホームページをご覧下さい。


Kings American Dispensatory

Logwood & Brazilwood

ブリタニカ

Modern Herbal

Rain Tree


この後、ある雑誌に書いた原稿

ログウッドの木

 ログウッドという木をご存じでしょうか。英語ではlogwoodと書きます。 インターネットに個人的に開いているGooの樹木図鑑にイタリアで天然染料 に使うログウッドとは何かという質問があり、私は聞いたことが無く、丸太 の木とは何だろうと調べてみました。

 メキシコから中米に産するマメ科の常緑低木で、心材にヘマトキシリンを 含んでおり、黒、紫の染料、細胞核染色、医薬品の原料になります。学名は、 Haematoxylon campechianum( haemato-は、赤い、xylonは、木の意味で木 の幹などが赤いための命名です。campechianumは、この木の産地ユカタン半 島のカンペチェから)。

 取りあえずこのように答えておきましたが、更にインターネットで樹名や 学名を検索して詳しく調べますと、この木は、大変な歴史を持っていてコロ ンブスの新大陸発見以来、香料と同様欧州貿易の重要品目で、16世紀には、 スペインがユカタン半島から大量の輸出を行い、これを英国の(国の許可を 得た)海賊船が航海途中で略奪していた歴史があります。

 17世紀に入ると、英国も英領ホンジュラスにこの木を見つけ、(という よりこの木があるためここを占領し)ここから自前の輸出を始め、最盛期に は、年1万トン以上が輸出されました。沼地の伐採環境は劣悪で多くの黒人 奴隷が使われました。この国の国旗や通貨には、今でもログウッドの葉と黒 人、白人の伐採作業員が描かれています。

 18世紀には、この伐採キャンプを今度はスペインが攻撃し、度々英西の 戦いが起こり、調停のためパリ条約、ベルサイユ条約が結ばれています。

 19世紀中頃になると、コールタールからアニリン染料が精製されるよう になり、伐採も海岸から内陸にあるホンジュラスマホガニー(Swietenia  macrophylla)に重点が移り、今度はマヤの人々と衝突が起こり、度々激し い戦いがありました。1981年にベリーズとしてやっと独立しました。

 こんなことが、居ながらにして分かるとは、便利な世の中となったもので す。しかし、これはすべてがバーチャルですので、将来カリブ海クルーズに でも行くことが出来れば、実際のログウッドを見てみたいと思っています。


 

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