イタリアでの天然染料染めで、こんなものから抽出したもので染めているらしいのですが、どんな植物(和名)かご存知の方は教えて下さい。
・Haematoxylon campechianum
お答え この木については、良く知りませんでしたので、
2,3書物を調べて見た結果をお知らせします。
この木の学名は、お書きになったとおりです。
(haemato-は、赤い、血の意。xylonは、木の意で
木の幹が赤黒いことから名づけられたもの。)
一般名は英語圏では、Logwood と言うようです。
和名は、日本に分布していないのでありませんので、
ログウッドとでも呼ぶしかありませんね。
マメ科の中でジャケツイバラ亜科に分類されています。
常緑の低木で小葉4枚の羽状複葉(ハギなどの葉などにやや似ています)。
花は黄色の小さい花で、材に染料などになるヘマトキシリン(Haematoxylin)を
含んでいます。
原産は、熱帯アメリカでメキシコから西インド諸島に分布していますが、
産業的には、ホンジュラス、ジャマイカ、サントドミンゴに大規模に植え
られているようです。
ヘマトキシリンは、紫色の染料に使われますし、細胞の核染色にも
使われています。また、敗血症などの医薬品にも使われるようです。
もっと詳しくお知りになりたければ、次のホームページをご覧下さい。
Campeche
ロッグウッド
アカミノキ
ブリタニカ
Modern Herbal
この後、ある雑誌に書いた原稿 ログウッドの木ログウッドという木をご存じでしょうか。英語ではlogwoodと書きます。 インターネットに個人的に開いているGooの樹木図鑑にイタリアで天然染料 に使うログウッドとは何かという質問があり、私は聞いたことが無く、丸太 の木とは何だろうと調べてみました。
メキシコから中米に産するマメ科の常緑低木で、心材にヘマトキシリンを 含んでおり、黒、紫の染料、細胞核染色、医薬品の原料になります。学名は、 Haematoxylon campechianum( haemato-は、赤い、xylonは、木の意味で木 の幹などが赤いための命名です。campechianumは、この木の産地ユカタン半 島のカンペチェから)。
取りあえずこのように答えておきましたが、更にインターネットで樹名や 学名を検索して詳しく調べますと、この木は、大変な歴史を持っていてコロ ンブスの新大陸発見以来、香料と同様欧州貿易の重要品目で、16世紀には、 スペインがユカタン半島から大量の輸出を行い、これを英国の(国の許可を 得た)海賊船が航海途中で略奪していた歴史があります。
17世紀に入ると、英国も英領ホンジュラスにこの木を見つけ、(という よりこの木があるためここを占領し)ここから自前の輸出を始め、最盛期に は、年1万トン以上が輸出されました。沼地の伐採環境は劣悪で多くの黒人 奴隷が使われました。この国の国旗や通貨には、今でもログウッドの葉と黒 人、白人の伐採作業員が描かれています。
18世紀には、この伐採キャンプを今度はスペインが攻撃し、度々英西の 戦いが起こり、調停のためパリ条約、ベルサイユ条約が結ばれています。
19世紀中頃になると、コールタールからアニリン染料が精製されるよう になり、伐採も海岸から内陸にあるホンジュラスマホガニー(Swietenia macrophylla)に重点が移り、今度はマヤの人々と衝突が起こり、度々激し い戦いがありました。1981年にベリーズとしてやっと独立しました。
こんなことが、居ながらにして分かるとは、便利な世の中となったもので す。しかし、これはすべてがバーチャルですので、将来カリブ海クルーズに でも行くことが出来れば、実際のログウッドを見てみたいと思っています。
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