木 材 チ ッ プ 市 況 平成28年8月
全国木材チップ工業連合会 平成28年8月31日調 単位:円/kg、%
 (価格は調査チップ工場サイロ下絶乾価格) 
用途 製紙用 ボード類用 燃料用等 原木 資材在庫状況等
樹種 スギ・ヒノキ類  マツ類 広葉樹 背板、(解体材)      在庫
工場 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 月数 摘   要
岩手 12.5 100 13.5 100 15.0 100         12.0 100 N 1.2 チップ価格、原木入荷、在庫及びチップ出荷(例年の8割程度(印刷用紙需要減))とも前月と変わらず。FIT用も変わらず、N原木はFIT用に大半が出荷、原木価格も高い状況も変わらず(N5,500円/m3、L10,500円/m3)。FIT用の出荷企業は原料確保が難しい模様。燃料用は温泉加温用、月30トン、樹皮は無料で出荷。
        L  1.0
福島 12.5 100 15.0 100 15.5 100         N 1.3 チップ価格、原木入荷、出荷(製紙側の受入制限無く全量出荷)とも前月と変わらず。なお、原木在庫はNがやや減。原発事故による森林再生事業で伐採がN林にシフトし、L出材が少ない状況も変わらず。FIT用(3発電所)も変わらず、水分50%以下を毎月4百生トン安定的に出荷。樹皮も流通可能で滞貨なしも変わらず。
              1.0 
富山 15.0 100 15.5 100 19.0 100         N 1.5 チップ価格、原木入荷、在庫及び出荷(前年度比90%程度)とも前月と変わらず。FIT用も変わらずNL混み1,000トン/月出荷。なお、FIT用の原木不足状況も変わらず。
            L 1.5
静岡         (9.0) 100 7.0 100 2.5 100 N 0.1 チップ価格、例年どおりの原料入荷(お盆休みの減を含めても)、出荷は前月と変わらず生産分は全量引き取り。消費税アップを見込んだ新設住宅着工の駆込み需要による原料入荷増は期待出来ず、また経済の先行き不透明感から下半期がやや心配。
            L ー
大阪         (11.3) 100 7.0 100   N 0.2  チップ価格前月と変わらず。原料入荷は住宅着工も悪くはなく順調。在庫は横ばい。
            -   L ー
島根 15.0 100 15.3 100 19.1 100   6.0 100 2.0 100 N 0.5 チップ価格変わらず。原木は購入材主体(民有林材が主体)でしかも伐採箇所の変更などもあり在庫は減、Lは在庫無し(自社生産が少なく購入材(売材)主体のため入荷が不安定)。FIT用も変わらず2FIT発電所へ供給(月850生トン、水分は40%程度、含水率で価格変動)、また、移動チッパー設置による増産体制構築.。
    L 0.0
広島         13.0 100       N 1.0 チップ価格変わらずであるが円高を受けて動きが不安(月2千m3輸入で為替レートの影響は大きい)。原料受入は輸入材の大半を占めるカナダ材が伐採量減や中国購入もあり入荷厳しい状況変わらず。チップは全量出荷(引取り)。
                      -
高知 14.8 100   14.0 100 11.7 100 6.0 100 2.0 100 N 1.0 チップ価格、原木入荷及び出荷(4月以降順調)とも前月と変わらず。なお、チップは製紙、ボード用とも原木が十分集まらずフル生産できない状況変わらず。なお、チップ価格、円高による輸入チップ価格との関係から来月以降納入価格の引き下げ要請。FIT用、月1500生トン出荷も変わらず。県内に4工場あり、自伐林家材もFIT用に動いている模様ではあるが絶対量は不足。また、2千KWの発電所設立の動きがあり、原料確保について問い合わせ。
    L  0.2 
鹿児島 11.5 100   16.1 100         N 3.0 チップ価格変わらず。原木入荷は順調に入荷し在庫増。これに伴い、在庫はNLとも増。なお、Lは製紙側の入荷制限(保守点検により8月まで)による増もあり。FIT用は4工場で4,500トン出荷も変わらず。なお、間伐材は国有林材主体。
                  1.0
  概 況                        
○米の利上げ観測の高まりを受け、ドル高・円安圧力の強まり、株価の急反発の動きがみられ。台風等の大雨による北海道、東北での伐採,搬出等への影響が懸念。
○チップ価格、チップ出荷とも前月と変わらず。チップ価格は一部で円高を受け引き下げの動き。また、原木在庫は減や増の地域もあり。製紙工場の受入制限はなく国産チップ出荷要請は強いが、N原木は一部製材用や発電用との競合で、製紙用には集荷が難しく増えない状況変わらず。また、N林伐採へのシフトもありL原木の集荷にも影響、購入価格も上がり、一部はFIT用へ。引き続き為替レートの円高による輸入チップの動向も留意。
○建築解体材チップの原料集荷は地域により濃淡あるものの生産した分は全量出荷の状況変わらず。
○FIT発電が動き出し、N原木チップが発電用として出荷増となり、チップ工場新設も行われたが、製紙用と FIT用の原木確保が各地で難しい問題。四国地域では2千KWの発電所建設の動きもあり、地域によっては原料確保の一層の競合化が懸念。
   エネルギー源として利用された間伐材等由来の木質バイオマス利用量は増えてきているものの26年度は前年比5 割増の168万m3で、依然として林内に放置されている未利用材が毎年大量発生、FIT制度上優遇されている未利用材利用拡大が大きな林政上の課題(森林・林業白書)。
    また、「平成27年木質バイオマスエネルギー利用動向調査の結果(速報)について(林野庁)」によると、平成27年にエネルギーとして利用された木材チップの量速報)は全体で719万トン、このうち間伐材・林地残材等に由来するものは123万トン、製材等残材に由来するものは152万トン、建設資材廃棄物に由来するものは431万トンと報告(資料同封)。
○木質バイオマスの証明に関わる事業者認定について、これまで木質バイオマスとは関係のない太陽光発電事業者からも問合わせも出始め。             
       (以上、各県の代表的な1チップ工場から聞き取り。なお、表中の燃料用単価は生重量当たり。)

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