木 材 チ ッ プ 市 況 平成28年9月
全国木材チップ工業連合会 平成28年9月30日調 単位:円/kg、%
 (価格は調査チップ工場サイロ下絶乾価格) 
用途 製  紙  用 ボード類用 燃料用等 原木 資 材 在 庫 状 況 等
樹種 スギ・ヒノキ類  マツ類 広葉樹 背板、(解体材)      在庫
工場 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 月数
岩手 12.5 100 13.5 100 15.0 100         12.0 100 N 1.2 チップ価格、原木入荷、在庫及びチップ出荷(例年の8割程度(印刷用紙需要減))とも前月と変わらず。FIT用も変わらず、N原木はFIT用に大半が出荷、原木価格も高い状況も変わらず(N5,500円/m3、L10,500円/m3)。FIT用の出荷企業は原料確保が難しい模様。燃料用は温泉加温用、月30トン、樹皮は無料で出荷。なお、県沿岸部は台風等による大雨により伐採・搬出に影響。
        L  1.0
福島 12.5 100 15.0 100 15.5 100         N 1.0 チップ価格変わらず。原木入荷、長雨の影響で減、これに伴い在庫はNLとも減。、出荷(製紙側の受入制限無く全量出荷)とも前月と変わらず。原発事故による森林再生事業で伐採がN林にシフトし、L出材が少ない状況も変わらず。FIT用(3発電所)も変わらず、水分50%以下を毎月4百生トン安定的に出荷。樹皮も流通可能で滞貨なしも変わらず。
              0.8
富山 15.0 100 15.5 100 19.0 100         N 1.5 チップ価格、原木入荷(順調)、在庫及び出荷(前年度比90%程度)とも前月と変わらず。FIT用も変わらずNL混み1,000トン/月出荷。なお、FIT用の原木不足状況も変わらず。当地域は台風・長雨もなく伐採・搬出への影響はない。
            L 1.5
静岡         (9.0) 100 7.0 100 2.5 100 N 0.1 チップ価格、原料入荷はやや少ない傾向(原因は不明)、出荷は生産分は全量引き取りへ。消費税アップを見込んだ新設住宅着工の駆込み需要による原料入荷増は期待出来ず、また経済の先行き不透明感から下半期がやや心配。
            L ー
大阪         (11.3) 100 7.0 100   N 0.2  チップ価格前月と変わらず。原料入荷は住宅着工も悪くはなく順調に推移。在庫は横ばい。FIT発電用解体材の需要は変わらず。なお、ボイラーによっては原料に制約があり解体材需要は横ばい。
            -   L ー
島根 15.0 100 15.3 100 19.1 100   6.0 100 2.0 100 N 0.5 チップ価格変わらず。原木在庫は先月と変わらずNは0.5、Lは在庫無し。出荷は生産分全量を引き取りへ。FIT用も変わらず2FIT発電所へ供給(月850生トン、水分は40%程度、含水率で価格変動)、また、移動チッパー設置による増産は軌道にのり順調.。
    L 0.0
広島         13.0 100       N 1.0 チップ価格変わらずであるが円高を受けて動きが不安も変わらず(月2千m3輸入で為替レートの影響は大きい)。原料受入は輸入材の大半を占めるカナダ材が伐採量減や中国購入もあり入荷厳しい状況変わらず。チップは全量出荷(引取り)。
                      -
高知 14.8 100   14.0 100 11.7 100 6.0 100 2.0 100 N 1.0 チップ価格、原木入荷及び出荷(4月以降順調)とも前月と変わらず。なお、チップは製紙、ボード用とも原木が十分集まらずフル生産できない状況変わらず。なお、チップ価格、円高による輸入チップ価格との関係から先行きが不透明。FIT用、月1500生トン出荷も変わらず。県内に4工場あり、自伐林家材もFIT用に動いている模様ではあるが絶対量は不足。また、2千KWの発電所設立構想に伴い原料確保の問い合わせ。
    L  0.2 
鹿児島 11.5 100   16.1 100         N 3.4 チップ価格変わらず。原木入荷は順調に入荷し在庫増。これに伴い、在庫はNは増、Lは月数変わらずも微増。なお、Lチップの製紙側の入荷制限は8月まで。FIT用は4工場で4,500トン出荷も変わらず。
                  1.0
  概 況                        

○日銀の政策枠組みの変更(資金供給の量重視から金利重視へ)による為替レートや株価の動きに注目。相次ぐ台風や大雨・長雨による伐採,搬出等への影響が一部地域でみられ、今後の需給への影響が懸念。
○チップ価格、チップ出荷とも前月と変わらず。チップ価格は一部で円高を受け先行きが不透明感を増し。原木在庫は減や増の地域もあり。製紙工場の受入制限はなく国産チップ出荷要請は強いが、N原木は一部製材用や発電用と
  の競合で、製紙用には集荷が難しく増えない状況変わらず。また、N林伐採へのシフトもありL原木の集荷にも影響、購入価格も上がり、一部はFIT用へ。
○建築解体材チップの原料集荷は地域により濃淡あるものの生産した分は全量出荷の状況変わらず。
○FIT発電が動き出し、N原木チップの発電用需要増え、製紙用と FIT用の原木確保が各地で顕在化。地域によっては発電所建設の動きもあり、更に原料確保の競合化が懸念。

 (以上、各県の代表的な1チップ工場から聞き取り。なお、表中の燃料用単価は生重量当たり。)  

《参考》
 ○エネルギー源として利用された間伐材等由来の木質バイオマス利用量は増えてきているものの26年度は前年比5 割増の168万m3で、依然として林内に放置されている未利用材が毎年大量発生、FIT制度上優遇されている
  未利用材利用拡大が大きな林政上の課題(森林・林業白書)。
 ○また、「平成27年木質バイオマスエネルギー利用動向調査の結果(速報)について(林野庁)」によると、平成27年にエネルギーとして利用された木材チップの量速報)は全体で719万トン、このうち間伐材・林地残材等に由来する
  ものは123万トン、製材等残材に由来するものは152万トン、建設資材廃棄物に由来するものは431万トンと報告(先月資料同封)。
           
      

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