木 材 チ ッ プ 市 況 平成28年10月
全国木材チップ工業連合会 平成28年10月31日調 単位:円/kg、%
 (価格は調査チップ工場サイロ下絶乾価格) 
用途 製  紙  用 ボード類用 燃料用等 原木 資 材 在 庫 状 況 等
樹種 スギ・ヒノキ類  マツ類 広葉樹 背板、(解体材)      在庫
工場 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 月数
岩手 12.5 100 13.5 100 15.0 100         12.0 100 N 1.5 チップ価格、出荷(例年の8割程度)とも変わらずもN原木在庫は国有林のシステム販売材購入のため増(プラス0.3)、L在庫は変わらず。NチップはFIT用に大半が出荷。FIT用需要の増を受け絶対量は不足し、価格は高止まり状況(N5,500円/m3、L10,500円/m3)。このため、FIT用の出荷企業は原料確保が難しい状況変わらず。燃料用は温泉加温用に月30トン、樹皮は無料出荷を継続。
        L  1.0
福島 12.5 100 15.0 100 15.5 100         N 1.0 チップ価格変わらず。原木入荷、長雨の影響を受け良くないものの在庫は変わらず。出荷(製紙側の受入制限無く全量出荷)も変わらず。原発事故による森林再生事業で伐採・搬出がN林にシフト、L出材が少ない状況継続。FIT用(3発電所)は4百生トン/月(水分50%以下)出荷、樹皮も滞貨なしも変わらず。
              0.8
富山 15.0 100 15.5 100 19.0 100         N 1.5 チップ価格、原木入荷(順調)、在庫及び出荷(前年度比90%程度)とも前月と変わらず。冬季に向かい原木生産が増加傾向(伐採・搬出が不可能なため)。FIT用もはNL混み1,000トン/月出荷継続。なお、FIT用の原木不足状況変わらず。
            L 1.5
静岡         (9.0) 100 7.0 100 2.5 100 N 0.1 チップ価格、原料入荷はやや少ない傾向(原因は不明)、生産分は全量出荷。今年度の下半期は経済の先行き不透明感からやや心配。
            L ー
大阪         (11.3) 100 7.0 100     N 0.2 チップ価格前月と変わらず。原料入荷は住宅着工も悪くはなく順調に推移。在庫は横ばい。出荷は変わらず順調。
            -   L ー
島根 15.0 100 15.3 100 19.1 100   6.0 100 2.0 100 N 0.5 チップ価格変わらず。原木在庫は変わらず、Nは0.5、Lは在庫無し(N林伐採のためL材が少ない)。生産分は全量出荷。FIT用も変わらず2FIT発電所へ供給継続(850生トン/月、水分は40%程度、含水率で価格変動)。
    L 0.0
広島         13.0 100       N 1.0 チップ価格変わらずも円高を受けての動きが不安(月2千m3輸入で為替レートの影響は大きい)。原料受入は輸入材の大半を占めるカナダ材が伐採量減や中国購入もあり入荷厳しい状況変わらず。なお、中国の需要減を受け、輸入先では伐採縮減の動きあり。チップは全量出荷。
                      -
高知 14.8 100   14.0 100 11.7 100 6.0 100 2.0 100 N 0.2  チップ価格変わらずも円高による輸入チップ価格との関係から先行き不透明。N原木は9月以降の長雨により入荷減、これに伴いN在庫は0.2ヶ月(マイナス0.8)、Lは変わらず。製紙、ボード用とも原木が十分集まらずフル生産できない状況継続。FIT用、月1500生トン出荷も変わらず。依然として絶対量は不足。国有林の後期のシステム販売が動き出し。
    L  0.2 
鹿児島 11.5 100   16.1 100         N 3.6 チップ価格変わらず。原木は順調に入荷し、N在庫は3.6か月(プラス0.2)、Lは変わらず。出荷も順調(Lチップの入荷制限は8月まで)。FIT用は4工場で4,500トン出荷も変わらず。
                  1.0
  概 況                        

○個人消費や民間投資は力強さを欠く景況、為替(円/ドル)は100円台前半、株価は17,000円台。相次ぐ台風や大雨・長雨による伐採,搬出等への影響が一部地域でみられ。
○チップ価格、チップ出荷とも前月と変わらずもチップ価格は一部で円高を受け先行きが不透明感を増し。原木在庫は減や増の地域もあり。製紙工場の受入制限はなく国産チップ出荷要請は強いが、N原木は一部製材用や発電用と競合し、製紙用には集荷が難しい状況変わらず。また、N林伐採へのシフトもありL原木の集荷にも影響、購入価格も上がり、一部はFIT用へ。
○建築解体材チップの原料集荷は地域により濃淡あるものの生産した分は全量出荷状況変わらず。FIT用需要は変わらずもボイラーによっては原料の制約(品質)があり解体材需要は増えていない(FIT制度発足時には解体材チップ需要は高まると言われたが一部地域を除き増えていない)。
○FIT発電が動き出し、Nチップは製紙用と競合が顕在化。地域によっては更なる発電所建設構想もあり、原料確保の競合化が懸念。なお、一部地域ではN原木輸出落ち込みを受け、製紙用、バイオマス発電用として引き取り要望があるものの発電用はチップの品質基準等から抑制気味との情報があり、バイオマス用原木需給状況に地域差が見られはじめ。
  (以上、各県の代表的な1チップ工場から聞き取り。なお、表中の燃料用単価は生重量当たり。)  

《参考》
 ○エネルギー源として利用された間伐材等由来の木質バイオマス利用量は増えてきているものの26年度は前年比5 割増の168万m3で、依然として林内に放置されている未利用材が毎年大量発生、FIT制度上優遇されている
  未利用材利用拡大が大きな林政上の課題(森林・林業白書)。
 ○また、「平成27年木質バイオマスエネルギー利用動向調査の結果(速報)について(林野庁)」によると、平成27年にエネルギーとして利用された木材チップの量速報)は全体で719万トン、このうち間伐材・林地残材等に由来する
  ものは123万トン、製材等残材に由来するものは152万トン、建設資材廃棄物に由来するものは431万トンと報告(8月期資料同封)。           
      

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