木 材 チ ッ プ 市 況 平成29年2月
全国木材チップ工業連合会 平成29年2月28日調 単位:円/kg、%
 (価格は調査チップ工場サイロ下絶乾価格) 
用途 製  紙  用 ボード類用 燃料用等 原木 資 材 在 庫 状 況 等
樹種 スギ・ヒノキ類  マツ類 広葉樹 背板、(解体材)      在庫
工場 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 当月 前月比 月数
岩手 12.5 100 13.5 100 15.0 100         12.0 100 N 1.5 チップ価格、出荷とも変わらず。原木在庫、Lは民有林材入荷で1.5ヶ月(プラス0.5)、Nは変わらず。NチップはFIT用に大半を出荷するも需要増を受け依然として不足。原木価格も高止まり状況(N5,500円/m3、L10,500円/m3)。FIT用の出荷企業は原料確保が難しい状況継続。燃料用は温泉加温用に30トン/月出荷、樹皮は無料出荷を継続。
        L  1.5
福島 12.5 100 15.0 100 15.5 100         N 1.5 チップ価格、出荷とも変わらず。原木在庫、Nは変わらず、Lは雪の影響を受け0.6ヶ月(マイナス0.2)。原発事故による森林再生事業等で伐採・搬出がN林にシフト、L出材が少ない状況継続は大きな影響。FIT用(3発電所)は4百生トン/月(水分50%以下)出荷、樹皮も滞貨なしも変わらず。
              0.6
富山 15.0 100 15.5 100 19.0 100         N 1.5 チップ価格、出荷(例年の90%程度)とも変わらず。冬季用原木は3月分まで入荷、在庫は3月には無しとなるが春先から徐々に入荷予定。FIT用もはNL混み1千トン/月出荷継続。FIT用の原木不足状況変わらず。
            L 1.5
静岡         (9.0) 100 7.0 100 2.5 100 N 0.1 チップ価格、出荷とも変わらず。原料入荷は7〜9月は悪かったが現在は例年どおり(12月から2月は少ない)。3月以降の新規住宅着工に期待。
            L ー
大阪         (11.3) 100 7.0 100     N 0.15 チップ価格、出荷とも変わらず。原料入荷は住宅着工も悪くなく順調であるものの微減0.15ヶ月(マイナス0.05)。
            -   L ー
島根 15.0 100 15.3 100 19.1 100   6.0 100 2.0 100 N 0.5 チップ価格、原木在庫(雪の影響は少なく順調に入荷、N林伐採のためL材が少ない状況変わらず)、出荷とも変わらず。FIT用も変わらず2FIT発電所へ供給継続(850生トン/月、水分は40%程度、含水率で価格変動)。
    L 0.0
広島         13.0 100       N 1.0 チップ価格、出荷とも変わらず。原木価格は現地の好況もあり強含み、円安や船賃アップもありコスト的には辛い状況(月2千m3輸入で為替レートの影響は大きい)。
                      -
高知 14.8 100   14.0 100 11.7 100 6.0 100 2.0 100  N 0.2  チップ価格、原木在庫(N原木は長雨や雪の影響を受け入荷量増えず)、出荷とも変わらず。製紙、ボード用とも原木が十分集まらずフル生産できない状況継続。FIT用、月1500生トン出荷も変わらず。FIT用は以前ほどはないにせよ絶対量は不足。
    L  0.2 
鹿児島 11.5 100   16.1 100         N 3.5 チップ価格、出荷とも変わらず。原木在庫、Nは変わらず、Lは入荷減(L伐採の減少)により0.5ヶ月(マイナス0.5)。FIT用は4工場で4,500トン出荷も変わらず。
                L 0.5
  概 況                        
○国内景気は雇用・所得環境が改善し緩やかな回復基調の持続。但し、個人消費、民間設備投資は力強さを欠いた状況。
○原木の伐採・搬出に昨年の台風・長雨や降雪の影響を受けている地域あり。
○チップ価格、チップ出荷、原木在庫(一部を除き)変わらず。国産チップの製紙工場の受入制限はなく出荷要請は強いが、依然としてN原木は発電用と競合。また、L原木はN林伐採へのシフトを受け集荷に影響、購入価格も高止まり、一部はFIT用へ。
○建築解体材の原料集荷、住宅着工は2年連続で増えているものの例年どおり。生産分は全量出荷変わらず。FIT用の解体材チップ需要は変わらずもボイラーによっては原料の制約(品質)があり増えていない(FIT制度発足時には解体材チップ需要は高まると言われたが一部地域を除き増えていない)。
○FIT発電が動き出し、Nチップは製紙用と競合が顕在化。地域によっては更なる発電所建設構想もあり、原料確保の競合化が懸念。なお、一部地域ではN原木輸出落ち込みを受け、製紙用、バイオマス発電用として引き取り要望があるものの発電用チップの品質基準等から抑制気味との情報もあり、FIT用原木需給状況は二極分化の模様。
○なお、平成29年10月から一般木材等燃焼発電について、「2万Kw以上」以上の新区分を設け、買取価格を現行の24円/kwh(税抜き)から21円/kwh(税抜き)に3円引き下げ(12月13日開催の経済産業省調達価格等算定委員会、資料12月期同封)。
 また、商社や新電力は大型バイオマス発電所建設の急増を受け、バイオマス燃料輸入拡大へ(新聞記事同封)。
  (以上、各県の代表的な1チップ工場から聞き取り。なお、表中の燃料用単価は生重量当たり。)  


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