第3章       木材チップの規格

 

1       木材チップの規格案について

 木材チップについては、これまで統一的な規格が定められておらず、木材チップ製造者と需要者の間でそれぞれ慣習的に基準が定められてきたのが実態である。

しかしながら、今後、木材チップの需要の多角化が見込まれる中で従来の需要先との個別的慣習的基準では対応が難しい面が生じることが憂慮されている。このため、今回の木材チップに関する調査結果に基づき木材チップの規格について検討したところである。

検討に当たっては、樹種、製造方法、樹皮の有無、異物の含有などを始め、現在あまり重視されていない木材チップの含水率についても、その発熱量を基準として湿量基準含水率により区分することが望ましいと考えられる。

チップの形状については、現在需要先毎に細かく決められている面があること、また製造方法によって大まかな形状が決まることなどから今回は規格としては表示しないことにした。ただし、形状について必要があれば、@チップの主な大きさが長辺50mm未満、以上に区分する。Aチップの主な形状が:短辺と長辺の比で2未満、2以上に区分する。などの形状の規格も考えられないことはないと思われる。

以上の検討により、木材チップの規格案を次ページに掲げたとおり提起したところである。

今後、木材チップ製造者としての全国木材チップ工業連合会が、木材チップに関する統一的な品質規格基準として自主的に木材チップの規格を定められ、このような品質規程が、木材チップ製造者の木材チップ製造の基準として活用されるとともに、この品質規格の製品表示の励行により木材チップ流通の円滑化、適正化が図られることを期待するものである。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木材チップ規格原案

 

 

 

 

 

 

 

項目

内容

規格区分

(表示記号)

備考

1樹種

@針葉樹チップを主体とするもの・・・ N.

N 

樹種名表記の例

 

  スギ、ヒノキ、アカマツ、エゾマツ、トドマツなど

 

スギ

 

樹種名の表記が必要な場合は主要構成樹種名をカタカナで

 

Nアカマツ

 

Nの右下に小さく表記する。

 

 

 

A広葉樹チップを主体とするもの・・・ L 

L

樹種名表記の例

 

  サクラなど特別な記載が必要な場合は主要構成樹種名

 

Lサクラ

 

をカタカナでLの右下に小さく表記する。

 

 

 

B針葉樹、広葉樹等混合チップを主体とするもの・・・ M

M

タケ等を含む

2製造

方法

@切削 (刃物で切削したもの)… S

S

 

 

A打撃、破砕 (ハンマー、クラッシャーなどで木質繊維に

H

ピンチップ、

 

沿って砕いたもの)… H 

 

クラッシャーチップ

3樹皮

@皮無し (白チップ) ・・・ 皮混入率3%以下

Bw

 

 

A皮付き (黒チップ) ・・・ 皮混入率20%以下

Bb

 

 

B樹皮チップ ・・・ 粉砕した樹皮を主体とするもの

Ba

 

4乾燥

乾燥程度〈湿量基準の含水率)で4区分する

D1 (20%未満)

湿量基準含水率

 

 

D2 (20%以上、30%未満)

 

 

 

D3 (30%以上、50%未満)

 

 

 

D4 (50%以上)

 

5異物

金属、プラスチック、土砂など異物を含まないもの

 

 

 

 

 

 

注1 この規格は流通取引単位の全量について定めるものとし、「主体とする」はその3分2以上を占めるものとする。

注2 湿量基準含水率 Uw=W-W0)/W*100  但し W :生重量、 W0 :絶乾重量

 

   なお、乾量基準含水率 Ud(100*Uw)/(100-Uw)

 

 

注3 需要先によって必要ない規格の表示は省略することが出来る。

 

 

 

 

 

 

記号表示例: スギ、切削、皮無し、未乾燥、のチップ   … NスギSBwD4

 

 

         広葉樹、破砕、皮付き、乾燥、のチップ   … LHBbD1