間伐材チップの確認のためのガイドライン

 

平成21年2月

林 野 庁

1.       趣旨

政府は、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号に基づく環境物品等の調達の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という)を改定することにより、国等が調達するコピー用紙について、古紙以外に間伐材を原料として特に指定したところである。

一方、森林のもつ国土の保全や地球温暖化の防止などの公益的機能を高度に発揮していくためには、森林を適切に整備・保全することが必要である。とりわけ、利用可能な資源が充実しつつある我が国の人工林については、間伐を適時適切に進めることに加え、林地に放置される間伐材の積極的な利用が必要となっている。

本ガイドラインは、このような状況を踏まえ、コピー用紙の原料としての間伐材、とりわけ間伐材丸太の円滑な供給に資するとともに、間伐材を原料として使用したコピー用紙に対する消費者の信頼を得ていくため、コピー用紙の原料となる間伐材並びに間伐材を原料としたチップの供給者が、これらについて間伐材由来であることの確認に取り組むに当たって留意すべき事項等を取りまとめたものである。

 

2.       定義

本ガイドラインにおける間伐材とは、森林に関する法令に基づき適切に設定された施業規範等に従い、育成段階にある森林において、樹木の混み具合に応じて、その一部を伐採し、残存木の成長を促す作業(以下「間伐」という)。により伐採された木材をいう。

 

3.       基本的な要件

伐採段階、加工・流通段階における紙の原料となる間伐材の確認に当たっては、以下の証明が必要となる。

(1)伐採段階

間伐を行う事業者(森林所有者を含む。以下同じ)は間伐材の納入先(販売先の事業者等)に対し、納入する木材が全て間伐材であることを証明する証明書を交付する必要がある。

なお、間伐材以外の木材を取り扱う事業者は、上記の証明にあたって、間伐材とそれ以外のものが混じらないよう分別管理するとともに、これが確実に行われていることを証明する必要がある。

(2)加工・流通段階

間伐材の加工・流通を行う事業者は、自らが加工・流通する全過程を通じて、(1)により間伐材であることが証明された木材が、証明されていない、ものと混じらないよう分別管理するとともに、納入先の事業者に対して、納入する木材が、全て(1)により間伐材であることが証明された木材由来であることを証明する証明書を交付する必要がある。

(3)証明書

上記(1)(2)の事業者が交付する証明書には、納入する木材が間伐材である旨を記載するとともに、当該間伐材の納入先、数量等基礎的な情報を記載する必要がある(伐採段階における証明書については、間伐材の伐採箇所についても記載。)

なお、証明書については、証明に必要な事項を納品書等に記載する、あるいは、証明に必要な事項が記載されている既存の書類の写しを納品書等に添付することをもって代えることができる。

加えて、納入先に対して交付した証明書の写し、仕入先から交付された証明書、その他関係書類を少なくとも5年間保管することとし、その証明の根拠について、納入先の事業者又は基本方針に定める間伐材パルプを利用したコピー用紙の調達者である国等の各機関から求められた場合は、関係書類等を提示できるようにしておく必要がある。

 

4.       適正な運用のあり方

上記3.の証明書を交付する者は、証明のなされた間伐材の分別管理や書類管理の方針について定める自主的行動規範を作成するとともに、当該規範の遵守状況等と併せて公表する等により、間伐材であることの確認を行う者にその判断に必要な情報を提供する必要がある。

なお、自主的行動規範については、個々の事業者に代わって、事業者が構成する業界団体が一括して共通の規範を定め、当該団体がその構成員である事業者について共通の規範に適合した体制を有しているかを評価・認定するとともに、各事業体の規範の遵守状況等について当該団体が公表することも考えられる。ただし、この場合にあっては、各事業者が交付する間伐材の証明書には、団体の評価・認定を受けたことを特定できる情報(認定番号等)を記載する必要がある。



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