X チナ温泉ベアポートレイル

1 ベアーポウビュートへのトレイル

ベアーポウビュートへの尾根中間点

 オーロラ観測に2日間を予定していたので、今日は特別な予定を入れおらず、のんびり起きて朝食、 アクティビティセンターで地図をもらって 近くのベアーポウビュートへのトレイルをハイキングすることにして9時半過ぎに出発。

 歩き出して直ぐ尾根にとりつき、スプルース(トウヒ)とアスペン、カンバと単純な林相の中を登る。標高が上がると灌木や草本のツンドラ相になり、 ブルーベリーやクランベリーなどの灌木類が出てきて味見をする。北米には赤い実で唯一毒性の強いキンポウゲ科のbaneberry(Actaea rubraなど)という草があるが、 これは灌木のベリー類とは葉も違い、実の先に黒点があるので区別できる。
 ここら辺は1万年から2万年前の植生が未だ変わっていないと案内書に記載されていた。

 


ベアーポウビュートからチナ温泉方面のスプルースの林  

 

 ビュートは、標高752m、そのまま先へ行くとエンジェルロックを経てチナ温泉道路の途中のトレイルヘッドに出るが、 今回は谷沿いのヒルサイドコースを下り、午後1時にはチナ温泉に戻った。約5マイルほどの足慣らしハイキングではあった。

 帰ってから読んだ新田次郎著アラスカ物語では、 日本人のフランク安田が飢餓や疾病に悩まされたエスキモーの人たちを連れて 極北のバローから苦難の末移ってきたユーコン河沿いのビーバーは、ここからは直線距離で 北に95マイルほどとそう遠くない。もっともビーバーへの夏の道路は無いので飛行機か船でないと行けないが。

 アラスカ物語にはアラスカの自然植生が生き生きと正確に書かれていて興味深かったが、 ただ、現地のホワイトスプルースなどをエゾマツと表現していることは樹木名としては正しくはない。 エゾマツ(Picea jezoensis)は、北海道、朝鮮、中国東北部などアジア東部に分布するマツ科トウヒ属の種で、 同じトウヒ属の樹木ではあるが、アラスカや米国東部に分布するホワイトスプルース(Picea glauca)やブラックスプルース(Picea mariana)とは 明らかに違う樹種である。(もっとも、針葉樹は、外見からは区別するのが本当に難しいが。)

 

 


 

2 チナ温泉の午後

チナ温泉の飛行機

 遅い昼食をレストランで摂る。窓辺に花台やえさ台が置いてあり、リスや小鳥が来てのどかな風景だ。 このような人里離れたリモートロッジは、電気も水道も自給で、ここでは温室を作って野菜まで自給している。飛行機も飛行場も持っている。
 ここの緯度は北緯65度03分、北極圏の66度にはやや届かないが、オーロラベルトの65度から70度には入っている。

   のんびり温泉に入って午後を過ごし、宿のレストランで夕食。日本人の学生が交換留学生で食堂のアルバイトに来ており、久しぶりの日本語で話が出来た。 チナ温泉は日本人客も割合多く、時々日本語も聞かれる。


 

オーロラ  今夜のオーロラ予報は、アンダーロウと極端に悪くあまり期待は出来なかったが、また、夜12時近くに出てみたところ、西の空にほんのかすかに白い雲の様なオーロラが出ている。 オーロラは1年に200日以上出るそうなので、このような低い予報の日にも弱いものは出るのかも知れない。

 普通、オーロラは夜9時頃から北の地平線から現れ、真夜中に天頂に移動し反物のように巻かれた活発な姿になる。 そして朝方には東の空に積雲の様な散った形になって終わると言う。 このようなアクティブなオーロラを見てみたいと思う。



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