無料のコンチネンタルブレックファストを食べ、午前7時にモーテルを出発、まだやや暗かった。
ネファイの街唯一の信号を左折して、132号線に入って50マイル走り、デルタで50号線に出た。
50号は、西部開拓の時代、ポニーエクスプレスと呼ばれ、郵便物を届ける早馬が駆け抜けていた街道である。
現在では、交通量の少ないアメリカで1番淋しい道路と呼ばれている。事実、デルタからネバダ州境のボーダーインまでの
90マイル(144キロ)間で、すれ違った車は14台しかなかった。
ボーダーインで車の燃料計が半分になったので給油、最近のガソリンの値上げで、1ガロン2.14ドルもする。 結局、6.4ガロン、13.68ドル掛かった。ここまで約230マイル走っているので、1ガロン当たり36マイルの燃費(リッター当たり16.5km)になるようだ。
途中、700年前の先住民の遺跡に寄って、グレイトベイズン国立公園*のビジターセンターに
ついたのが10時半。地図や資料をもらい、明日のレーマン洞窟のツアーの予約をする。ツアー代金は8ドルであるが、パークパスがあれば無料とのこと。
この国立公園は、年間8万人しか訪問者がいない本当に静かな公園で米国人でも知る人は少ない。
ビジターセンターの標高は、2000mもあるが、ここからウィラーピークドライブを13マイル登って、
ウィラーピークキャンプ場の駐車場は、標高3000mになる。
このキャンプ場から、ウィラーピークの氷河まで2.3マイルの歩道があり、今日はこちらを選んで登り始めた。
樹林地帯をしばらく歩くと、ブリスルコーンパインの観察路に着いたが、ここは帰りに見ることにして、
氷河の端のエンドモレーンまで登った。
ここで標高は、3320m、歩き始めてから1時間半だった。
氷河圏谷は、3方が垂直の岸壁に囲まれ、巨大テレビスクリーンの前に居るようであった。
この絶景が見られるように、まるで玉座の様な石の椅子が置いてあった。
昨日スーパーで仕入れたビーフジャーキー、バナナ、ジュースでこの絶景を見ながら昼食。
30分ほど景色を堪能してから下る。
下りは、石の道が切れると、ブリッスルコーンパインが密集して生えている林に戻る。
ここに1周300mくらいの歩道があり、ブリッスルコーンパインなどについての詳しい説明板も用意されている。
ブリスルコーンパイン(Pinus longaeva)は、5針葉のソフトパインで、この地域では、標高3000m以上の気候の厳しい所に生えている。
寿命は長く、4000年を越える。
この国立公園の山には、プロメテウスと固有名詞の付けられたブリスルコーンパインがあったが、
以前に研究用に伐られてしまった。年輪は4900年以上あったそうである。
ここには、姿も似ているフレキシマツ(Pinus flexilis)も同じ地域に混ざって生えていて見分けるのが難しいが、
樹皮は、フレキシマツの方が明るい色合いであること、葉はブリスルコーンパインの方が短く、色が濃い、又枝全体に着いてまるで猫の尻尾のようであることに対し、
フレキシマツは、葉が長く、枝の先の方に集まって着くことで区別できる。
ゆっくり写真などを撮りながらウィラーピーク麓のベーカーに戻る。
ここは、ホワイトパイン郡の1集落みたいな所で、人口はおそらく500人以下と思われる。
インターネットで予約してあるシルバージャックモーテル*にチェックイン。
8室ほどの小さいモーテルだが、最低限の設備は整っていて民宿のようで気楽に泊まれる。1泊40ドル。
ベーカーで泊まれる所はこのシルバージャックモーテルと給油したボーダーインの2軒しかない。
ここで泊まれなければ、60マイル離れたイリーまで行かなければならない。
夕食は、これ又ここに1件しかないレストラン兼バー兼雑貨屋のT&D に出かけた。1人でメニューを見ていると
たまたま日系の方が一緒に食事しようと声を掛けてくれた。ご主人は米国人だが、奥さんは小学校まで日本にいたので日本語がかなり判る。
名字は畠さんで、オレゴンのコーバリスで歯科をやっているそうだ。
昨日イリーに泊まり、今日は、ウィラーピークへの頂上トレイルを登ったが、
かなり登った所で膝が痛くなり下山したとのこと。
この週末は、グレイシャー国立公園に行く予定だったが、
そちらの天気予報が最悪で急遽こちらに変えたのだそうだ。子供も大きくなったので、米国に長く住んでいるが、
あまりにもどこにも行っていないので、これからあちこち廻りたいとのことだった。
話が弾み(何しろ日本語で良い)、地元のルビーマウンテン産のビールに店のご主人も加わって(こちらは英語)、大いに盛り上がった。
ご夫妻はビリヤードが上手で、食後、バーに備え付けの台で挑戦していた。私も誘われたが、無粋者で出来ず、見るだけ。
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